薬剤師いんふぉ

薬剤師の学習記録です

消化器系

アルロイドG(アルギン酸ナトリウム)の注意点

アルロイドG(一般名:アルギン酸ナトリウム)は消化性潰瘍用剤です。 胃の粘膜を保護したり、胃の出血を止める作用があります。 適応症 下記疾患における止血及び自覚症状の改善 胃・十二指腸潰瘍、びらん性胃炎 逆流性食道炎における自覚症状の改善 胃生…

ガスモチン(モサプリド)の作用機序と肝機能障害、漫然投与について

ガスモチン(一般名:モサプリド)は消化管運動機能改善剤です。 規格 錠剤:2.5mg、5mg 散剤:1%散 適応症 ・慢性胃炎に伴う消化器症状(胸焼け、悪心・嘔吐) ・経口腸管洗浄剤によるバリウム注腸X線造影検査前処置の補助 用法用量 ・慢性胃炎に…

フオイパン(カモスタット)の作用機序

フオイパン(一般名:カモスタット)は蛋白分解酵素阻害薬であり、膵炎の治療などに使用されています。 適応症 ・慢性膵炎における急性症状の寛解 ・術後逆流性食道炎 用法用量 慢性膵炎における急性症状の寛解 1回200mgを1日3回 術後逆流性食道炎 …

プロマック(ポラプレジンク)の亜鉛含有量

プロマック(ポラプレジンク)は亜鉛含有胃潰瘍治療薬です。 適応症 胃潰瘍 用法用量 1回75mgを1日2回朝食後及び就寝前に投与。年齢,症状により適宜増減する。 作用機序 潰瘍部分に長時間付着し、膜を形成して潰瘍部分の細胞を保護します。 創傷治癒促…

ロペミン(ロペラミド)の作用機序

ロペミン(ロペラミド)は腸管運動を抑制する止瀉剤です。 適応症 下痢症 用法用量 1日1〜2mgを1〜2回分服症状により適宜増減 作用機序 ロペラミドは大腸のアウエルバッハ神経叢に存在するオピオイド μ 受容体を刺激します。 (アウエルバッハ神経叢:…

酸化マグネシウムによる高マグネシウム血症について

酸化マグネシウムは塩類下剤に分類される便秘薬です。 腸管内の浸透圧を高めることで水分を腸管内へ引き込み、便を軟化させ排便を促します。 効果は穏やかですが、刺激性下剤に比べて長期投与による習慣性が少ないです。 (刺激性下剤は長期投与で耐性が生じ…

ルビプロストン(アミティーザ)の作用機序と悪心について

ルビプロストン(アミティーザ)は便秘治療に使用される、クロライドチャネルアクチベーターです。 適応症 慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く) 用法用量 1回24μgを1日2回,朝食後及び夕食後に投与する。 なお,症状により適宜減量する. ルビプ…

ラグノスNFゼリーの作用機序と慢性便秘症

ラグノスNFゼリー(有効成分:ラクツロース)は便秘や高アンモニア血症を改善するお薬です。 有効成分のラクツロースは合成二糖類であり、これは高アンモニア血症の治療で使用で使用されてきました。 yakuzaishi-info.hateblo.jp ラクツロースは消化吸収さ…

モビコール配合内用剤の作用機序と服用方法

モビコール配合内用剤は慢性便秘症の治療に使用されている薬剤です。 有効成分はマクロゴール、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カリウムです。 適応症 慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く) 用法用量 本剤は、水で溶解して経口投与します。 …

エロビキシバット(グーフィス)の作用機序と食前投与

エロビキシバット(グーフィス)は便秘症に使用される薬剤です。 適応症 慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く) 用法用量 10mgを1日1回食前に投与。 症状により適宜増減するが、最高用量は1日15mg。 作用機序についてです。 エロビキシバットは回腸末端…

イトプリド(ガナトン)の特徴

以前にD2受容体拮抗薬である、ドンペリドン(ナウゼリン)とメトクロプラミド(プリンペラン)の特徴や違いについてまとめました。 yakuzaishi-info.hateblo.jp 消化管運動を改善するD2受容体拮抗薬にはもう一つあり、それがイトプリド(ガナトン)です。 …

ドンペリドン(ナウゼリン)とメトクロプラミド(プリンペラン)の違い

以前に、制吐剤として使用されるD2受容体拮抗薬の作用機序についてまとめました。 中枢性と末梢性の2つの作用から制吐作用を発揮する薬剤でした。 yakuzaishi-info.hateblo.jp ドンペリドン(ナウゼリン)とメトクロプラミド(プリンペラン)が該当します…

D2受容体拮抗薬と中枢性、末梢性嘔吐

消化管運動機能を改善するD2受容体拮抗薬にはドンペリドン(ナウゼリン)とメトクロプラミド(プリンペラン)があり、どちらも制吐薬として使用されています。 D2受容体拮抗薬は中枢性と末梢性の2つの作用から効果を発揮します。 まず末梢性の作用ですが …

ダンピング症候群について

胃を切除したことで生じる後遺症を、胃切除後症候群と言います。 胃切除後症候群の症状には ・下痢 ・貧血 ・逆流性食道炎 ・骨粗鬆症 ・胃切除後胆石 ・ダンピング症候群 などがあります。 胃を失うことで、このような症状が生じてしまうことがありますが、…

ボノプラザン(タケキャブ)とPPIの違い

ボノプラザン(タケキャブ)は従来のPPIと区別して、カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(Potassium-Competitive Acid Blocker : P-CAB)と呼ばれています。 PPIとH2受容体拮抗薬の違いはこちらでまとめています。 では従来のPPIとボノプラ…

新レシカルボン坐剤の効果発現時間

新レシカルボン坐剤は便秘に使用する坐薬です。 直腸刺激性下剤に分類されます。 成分は炭酸水素ナトリウム・無水リン酸二水素ナトリウムが配合されたものからなり、肛門から直腸へ挿入されると、直腸内の水分と反応し炭酸ガス(二酸化炭素)が発生します。 …

サラゾスルファピリジン(サラゾピリン)とメサラジン製剤の違い

メサラジン製剤(ペンタサ、アサコール、リアルダ)とサラゾスルファピリジン(サラゾピリン)は潰瘍性大腸炎の治療に用いられる薬剤です。 (ペンタサのみクローン病にも適応があります) どちらも有効成分は5-アミノサリチル酸で、5-ASA製剤と呼ばれ…

ラモセトロン(イリボー)の便秘時の対応、女性への投与量

過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome : IBS)は、器質的変化や代謝性疾患がないにもかかわらず、腹痛・腹部不快感と便通異常(下痢、便秘)を主体とする症状が長期間持続もしくは再燃・寛解を繰り替える下部消化管障害です。 便の状態により、便秘…

PPIとH2受容体拮抗薬の違い

消化性潰瘍治療薬である、プロトンポンプ阻害薬(PPI)とH2受容体拮抗薬。 どちらも酸分泌を抑える攻撃因子抑制薬です。 ここではこの2種類の薬剤の違いと特徴を見ていきたいと思います。 まずPPIの作用機序ですが、胃壁細胞のH+分泌の最終段階で…

ナルデメジン(スインプロイク)の作用機序と効果発現時間

ナルデメジン(スインプロイク)はオピオイド鎮痛薬によるオピオイド誘発性便秘症に用いられるお薬です。 オピオイド鎮痛薬にはフェンタニルやモルヒネ、オキシコドン、トラマドールなどがあります。 オピオイド鎮痛薬はNSAIDsのような鎮痛薬よりも強…

肝代謝型のH2受容体拮抗薬

H2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)はプロトンポンプ阻害薬(PPI)に次いで強力な胃酸分泌抑制作用をもちます。 胃粘膜壁細胞の基底膜側に存在するヒスタミンH2受容体において、ヒスタミンと拮抗して働きプロトンポンプへの刺激が抑制されて、胃酸分泌を抑制し…

グリセリン浣腸の使い方

便秘時に使用されている、浣腸剤であるグリセリン浣腸。 今回はその使い方や注意点の再確認です。 グリセリン浣腸は速効性があり、速やかに排便を促したいときや、硬結便がある場合に使用されます。 グリセリンが組織から水を吸収し、腸壁を刺激して蠕動運動…

リナクロチド(リンゼス)の食前投与

リナクロチド(リンゼス)は便秘型の過敏性腸症候群の治療薬として使用されている薬剤です。 過敏性腸症候群(IBS)は、腸の器質的な変化を伴わずに、便通異常(下痢、便秘)や腹痛を主症状とする消化器症状が長期間続いたり再燃・寛解を繰り返す疾患です。 …

メサラジン製剤(ペンタサ、アサコール、リアルダ)の違い

メサラジンは炎症性腸疾患(IBD)の治療薬として使用されています。 炎症性腸疾患にはクローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UD)があります。 どちらも原因が不明で、症状や好発部位が異なる疾患であり、使用する治療薬は若干異なります。 クローン病、潰…

ニザチジン(アシノン)の唾液分泌促進作用

H2受容体拮抗薬であるニザチジン(アシノン)には胃酸の分泌抑制作用と他のH2受容体拮抗薬にはない作用もあります。 今回はそれについてまとめたいと思います。 ニザチジン(アシノン)と言えばH2受容体拮抗薬ですので、胃・十二指腸潰瘍や逆流性食道…

ピコスルファート(ラキソベロン)について

今回はピコスルファート(ラキソベロン)についてみていきたいと思います。 よく処方されているお薬ですが、改めてまとめてみました。 ピコスルファート(ラキソベロン)には液剤と錠剤の2種類の剤型があり、液剤は内服量の調節に便利で、服用困難な方にも…