エロビキシバット(グーフィス)は便秘症に使用される薬剤です。
適応症
慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)
用法用量
10mgを1日1回食前に投与。
症状により適宜増減するが、最高用量は1日15mg。
作用機序についてです。
エロビキシバットは回腸末端部の上皮細胞にある胆汁酸トランスポーター(IBAT:Ileal Bile Acid Transporter)を阻害して、胆汁酸の再吸収を抑制します。
胆汁酸は回腸で回収されて再利用(腸肝循環)されるのですが、これをエロビキシバットがこれを阻害します。
これにより、大腸内へ流れ込む胆汁酸の量が増えます。
胆汁酸には大腸内への水分分泌を促進させる作用と、大腸運動を促進させる作用があります。
この2つの作用でエロビキシバットは便秘症を改善してくれます。
エロビキシバットが食前投与となっている理由ですが胆汁酸の再吸収を効率よく阻害するためです。
エロビキシバットは血液中に移行せず、腸管内でそのまま胆汁酸トランスポーター(IBAT)に作用して効果を発揮します。
胆汁酸が食事の刺激により分泌されるので、それよりも前の食前に服用しておくことで、胆汁酸の再吸収を阻害して大腸への流入量を増やすことができます。
エロビキシバット服用した際の初回排便までにかかった時間ですが、患者によりバラツキはあったものの、中央値は5.2時間であり、これはプラセボ群よりも有意に短くなっています。
効き過ぎによる下痢や腹痛が生じてしまうことがありますが、腸管から吸収されないため副作用が生じにくい薬剤であると言えると思います。
大腸刺激性下剤のような耐性が生じるおそれもない薬剤です。
まとめ
・エロビキシバットは胆汁酸トランスポーター(IBAT)を阻害して、胆汁酸の再吸収を抑制する
・大腸内へ流れ込む胆汁酸の量が増えることで、水分分泌促進作用と、大腸運動促進作用が得られる
・胆汁酸の再吸収を効率よく阻害するため、食前投与となっている