薬剤師いんふぉ

薬剤師の学習記録です

2021-01-01から1年間の記事一覧

イリノテカン(CPT-11)の早発性、遅発性の下痢

イリノテカン(CPT-11)はトポイソメラーゼⅠ阻害薬に分類される薬剤です。 トポイソメラーゼ阻害薬はがん細胞のトポイソメラーゼがDNA鎖のねじれを解消して再結合しようとするのを阻害することで、DNAの複製を阻害します。 トポイソメラーゼにはⅠとⅡが…

イリノテカン(CPT-11)と遺伝子多型

イリノテカン(CPT-11)はトポイソメラーゼⅠ阻害薬に分類される薬剤です。 トポイソメラーゼ阻害薬はがん細胞のトポイソメラーゼがDNA鎖のねじれを解消して再結合しようとするのを阻害することで、DNAの複製を阻害します。 トポイソメラーゼにはⅠとⅡが…

オキサリプラチン(L-OHP)による末梢神経障害について

オキサリプラチン(L-OHP)は白金製剤に分類される抗悪性腫瘍薬です。 白金製剤は、構造中に白金(Pt)を含んでおり、DNA鎖間に架橋を形成しDNA合成を阻害することで抗腫瘍効果を発揮します。 yakuzaishi-info.hateblo.jp がん細胞に対する作用…

カルボプラチン(CBDCA)とアナフィラキシーについて

カルボプラチン(CBDCA)は白金製剤に分類される抗悪性腫瘍薬です。 白金製剤は、構造中に白金(Pt)を含んでおり、DNA鎖間に架橋を形成しDNA合成を阻害することで抗腫瘍効果を発揮します。 yakuzaishi-info.hateblo.jp シスプラチンの構造を変…

シスプラチン(CDDP)とマグネシウムによる腎保護作用

シスプラチン(CDDP)は白金製剤に分類される抗悪性腫瘍薬です。 白金製剤は、構造中に白金(Pt)を含んでおり、DNA合成を阻害することで抗腫瘍効果を発揮します。 yakuzaishi-info.hateblo.jp シスプラチンは多くのがんに有効性が認められており、…

ドルゾラミド(トルソプト点眼液)とブリンゾラミド(エイゾプト懸濁性点眼液)の特徴

緑内障の治療で使用される点眼薬は数多くあり、炭酸脱水酵素阻害薬はそのうちの一つです。 yakuzaishi-info.hateblo.jp 炭酸脱水酵素阻害薬には以下の種類があります。 ・ドルゾラミド(トルソプト点眼液) ・ブリンゾラミド(エイゾプト点眼液) ドルゾラミ…

炭酸脱水酵素阻害薬の作用機序

緑内障の治療で使用される点眼薬は数多くあり、炭酸脱水酵素阻害薬はそのうちの一つです。 毛様体筋で産生された房水と呼ばれる液が、角膜と水晶体の間を循環しています。 この房水が血液の代わりに眼の組織に栄養を運んだり、眼圧の調整をしたりしています…

β受容体遮断点眼薬の作用機序と注意点

緑内障の治療で使用される点眼薬は数多くあり、β受容体遮断点眼薬はそのうちの一つです。 毛様体筋で産生された房水と呼ばれる液が、角膜と水晶体の間を循環しています。 この房水が血液の代わりに眼の組織に栄養を運んだり、眼圧の調整をしたりしています。…

ケトプロフェン(モーラス)剥離後、光線過敏症に注意する期間

ケトプロフェン(モーラステープ・パップ・パップXR)は経皮鎮痛消炎剤であり、いわゆる湿布薬です。 抗炎症作用をもつNSAIDs(非ステロイド抗炎症薬)であり、非常によく使用されている湿布薬です。 ケトプロフェン外用剤の注意点の一つに「光線過敏症」…

ジクトルテープの特徴と注意点

ジクトルテープ(有効成分:ジクロフェナクナトリウム)は経皮吸収型の持続性疼痛治療剤になります。 ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)の貼付剤になります。 適応症 ・各種がんにおける鎮痛 ・腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における…

オミデネバグ イソプロピル(エイベリス点眼液)の副作用、注意点

オミデネパグ イソプロピル(エイベリス点眼液)は緑内障・高眼圧症の治療で使用される点眼薬です。 EP2受容体作動薬と呼ばれる分類に属します。 EP2受容体を選択的に刺激して主流出路および副流出路の両方から房水排泄を促進します。 yakuzaishi-info…

オミデネバグ イソプロピル(エイベリス点眼液)の作用機序

オミデネパグ イソプロピル(エイベリス点眼液)は緑内障・高眼圧症の治療で使用される点眼薬です。 EP2受容体作動薬と呼ばれる分類に属します。 適応症 緑内障、高眼圧症 用法用量 1回1滴 1日1回 毛様体筋で産生された房水と呼ばれる液が、角膜と水…

プロスタグランジン(PG)製剤の副作用

プロスタグランジン(PG)点眼薬は使用頻度の高い緑内障治療の代表的な薬剤です。 プロスタグランジン関連薬は、副流出路(またはぶどう膜強膜流出路とも言います)からの房水排泄を促進させることで眼圧を低下させます。 yakuzaishi-info.hateblo.jp プロ…

プロスタグランジン(PG)製剤の作用機序

緑内障の治療で使用される点眼薬は数多くありますが、そのうちのプロスタグランジン(PG)点眼薬は使用頻度の高い緑内障治療の代表的な薬剤と言えます。 毛様体筋で産生された房水と呼ばれる液が、角膜と水晶体の間を循環しています。 この房水が血液の代…

デスロラタジン(デザレックス)の特徴とロラタジンとの違い

デスロラタジン(デザレックス)は第二世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬でありアレルギー性疾患に使用されています。 デスロラタジンはヒスタミンがH1受容体に結合するのを阻害し、鼻水やくしゃみ、痒みなどのアレルギー反応を抑えます。 適応症 ・アレルギー…

マイスリー(一般名:ゾルピデム)の性差について

マイスリー(一般名:ゾルピデム)は非ベンゾジアゼピン系睡眠薬に分類される薬剤です。 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬はベンゾジアゼピン系睡眠薬と同じGABAA受容体へ作用し、Cl-(塩化物イオン)が細胞内に流入し神経活動が抑制され眠りやすくなります。 yak…

ルネスタ(一般名:エスゾピクロン)の特徴

ルネスタ(一般名:エスゾピクロン)は非ベンゾジアゼピン系睡眠薬に分類される薬剤です。 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬はベンゾジアゼピン系睡眠薬と同じGABAA受容体へ作用し、Cl-(塩化物イオン)が細胞内に流入し神経活動が抑制され眠りやすくなります。 y…

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の特徴

今回は非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の特徴についてです。 ベンゾジアゼピン系睡眠薬はベンゼン環とジアゼピン環から成る、ベンゾジアゼピン骨格を持ちます。 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、ベンゾジアゼピン構造を持ちませんが作用部位はベンゾジアゼピン系…

ベンゾジアゼピン系睡眠薬の作用機序

オレキシン受容体拮抗薬やメラトニン受容体作動薬なども登場しましたが、現在も使用される頻度の高いベンゾジアゼピン(BZ)系睡眠薬の作用機序についてです。 yakuzaishi-info.hateblo.jp yakuzaishi-info.hateblo.jp ベンゾジアゼピン系睡眠薬はほとんどが…

「in vitro」と「in vivo」の違い

研究開発のデータで「in vivo」や「in vitro」といった表記を目にされることが多いと思います。 今回はそれぞれ、どういったものなのかについてです。 ・in vivo(イン ビボ) 「生体内で」という意味です。動物実験とも呼ばれます。 動物個体をそのまま用い…

抗EGFR抗体薬の作用機序

EGFRとは 上皮増殖成長因子受容体(EGFR:Epidermal growth factor receptor)は上皮細胞などに発現が認められている膜貫通型の受容体です。 EGFRは細胞の増殖、分化、維持の調節に関与しています。 リガンド(増殖因子)がEGFR受容体に結合…

PARP阻害剤の作用機序

今回は「PARP阻害薬」についてです。 PARP阻害剤はPARP(ポリアデノシン5’二リン酸リボースポリメラーゼ)という損傷したDNAを修復する酵素を阻害することで 抗腫瘍効果を発揮する薬剤です。 (PARPは ”パープ”と読みます) PARPが…

CDK4/6阻害薬の作用機序

CDK4/6阻害薬(CDK:Cyclin Dependent Kinase)は「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん」に使用される薬剤です。 CDK4/6とは CDK4/6とは「サイクリン依存性キナーゼ」のことであり、細胞分裂にストップがか…

LH-RHアゴニスト製剤について

LH-RHアゴニスト製剤は、閉経前乳がん、前立腺がんに使用されている薬剤です。 LH-RHとは視床下部から分泌される、「黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH-RH:Luteinizing Hormone - Releasing Hoemone)」のことです。 (アゴニストは作動薬であ…

抗エストロゲン薬について

抗エストロゲン薬は乳がん細胞において、エストロゲンの作用を阻害することで乳がんを治療する薬剤です。 エストロゲンとは 女性ホルモンには「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類があります。 エストロゲン(E)…

アロマターゼ阻害薬について

アロマターゼ阻害薬(AI:Aromatase Inhibitor)は、閉経後乳癌に使用される薬剤です。 エストロゲンとは 女性ホルモンには「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類があります。 エストロゲン(E)は卵胞の発育と…

タイケルブ(ラパチニブ)の作用機序

タイケルブ(一般名:ラパチニブ)はEGFR/HER2チロシンキナーゼ阻害薬です。 規格 タイケルブ錠250mg 適応症 HER2過剰発現が確認された手術不能又は再発乳癌 用法用量 ・カペシタビンと併用 1回1250mg ・アロマターゼ阻害薬と併用 …

エンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)の作用機序

エンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)はトラスツズマブとデルクステカンを結合させた抗体薬物複合体です。 規格 エンハーツ点滴静注用100mg 適応症 ・化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌(標準的な治療が困難な場合に限る) …

カドサイラ(トラスツズマブ エムタンシン)の作用機序

カドサイラ(トラスツズマブ エムタンシン)はトラスツズマブとエムタンシンを結合させた抗体薬物複合体です。 規格 カドサイラ点滴静注用100mg(注射用水5ml添付) 160mg(注射用水8ml添付) 適応症 ・HER2陽性の手術不能又は再発乳癌 …

ハーセプチン(トラスツズマブ)、パージェタ(ペルツズマブ)併用療法

ハーセプチン(一般名:トラスツズマブ)は抗HER2抗体薬であり、HER2過剰発現が確認された乳癌・胃がんに使用されます。 パージェタ(一般名:ペルツズマブ)は抗HER2抗体薬であり、HER2過剰発現が確認された乳癌に使用されます。 ハーセプ…