薬剤師情報局

薬剤師の学習記録です

2021-01-01から1年間の記事一覧

アクトシン軟膏(ブクラデシンナトリウム)の作用機序

アクトシン軟膏(一般名:ブクラデシンナトリウム)は褥瘡、皮膚潰瘍治療剤になります。 適応症は 褥瘡、皮膚潰瘍(熱傷潰瘍、下腿潰瘍) となっています。 褥瘡の治療は瘡の状態により異なります。 急性期 → 炎症期 → 増殖期 → 成熟期 → 治癒 の順に快方へ…

プロスタンディン軟膏(アルプロスタジル)の作用機序

プロスタンディン軟膏(一般名:アルプロスタジルアルファデクス)は褥瘡、皮膚潰瘍治療剤になります。 適応症は 褥瘡、皮膚潰瘍(熱傷潰瘍、糖尿病性潰瘍、下腿潰瘍、術後潰瘍) となっています。 褥瘡の治療は瘡の状態により異なります。 急性期 → 炎症期 …

フィブラート系薬剤の作用機序

フィブラート系薬剤は脂質異常症の治療で使用される薬剤です。 脂質異常症は血液中の脂質が基準値を超えている病態のことを言います。 診断基準は以下のようになります。 空腹時採血で以下のいずれかの場合 ・高LDLコレステロール血症 LDLコレステロー…

アクトス(ピオグリタゾン)の作用機序

アクトス(一般名:ピオグリタゾン)は糖尿病治療薬です。 糖尿病治療薬のうち「チアゾリジン薬」というカテゴリーに分類されるのですが、チアゾリジン薬はアクトス(一般名:ピオグリタゾン)のみです。 今回はこのアクトス(ピオグリタゾン)の作用機序に…

SGLT2阻害薬と心不全治療

SGLT2阻害薬は糖尿病治療薬として発売されました。 SGLT2阻害薬の働きを簡単に言うと、尿中に排泄される糖の量を増やす働きがあります。 yakuzaishi-info.hateblo.jp 現在は糖尿病がなくても、心不全治療薬として使用される薬剤となっています。 糖…

SGLT2阻害薬の作用機序

SGLT2阻害薬は糖尿病治療薬の一種です。 SGLT2はナトリウム・グルコース共役輸送体2(sodium/glucose cotransporter 2)の略です。 SGLT2阻害薬の働きを簡単に言うと、尿中に排泄される糖の量を増やす働きがあります。 SGLTは腎臓の尿細管…

エンレスト(サクビトリルバルサルタン)の作用機序

エンレスト(一般名:サクビトリルバルサルタン)はアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)に分類される薬剤です。(配合比は1:1) 慢性心不全や高血圧症に使用されます。 エンレストはサクビトリルとバルサルタンの複合体であり、二つ…

抗RANKL抗体の作用機序

抗RANKL抗体製剤にはデノスマブ(商品名:プラリア)があり、骨粗鬆症の治療薬として使用されています。 注射薬であり、使用は半年に1回、皮下注で済む製剤となっています。 高い骨折予防効果が認められている薬剤です。 骨は吸収と形成が繰り返し行われ、…

コンサータ(メチルフェニデート)の作用機序

コンサータ(一般名:メチルフェニデート)は中枢神経刺激剤に分類され、ADHDの治療に使用される薬剤です。 ADHD(注意欠如・多動症)は発達障害の一種です。 学童期に診断を受けることが多いですが、育て方やしつけ、本人の努力が足りない等の理由ではなく…

アジマイシン点眼液の注意点

ジマイシン点眼液(成分名:アジスロマイシン)は抗生物質点眼薬です。 有効成分のアジスロマイシンは15員環マクロライド系に分類されます。 内服薬では「商品名:ジスロマック」で長い期間実績のある成分になります。 適応症 ・結膜炎 ・眼瞼炎、麦粒腫、…

ツイミーグ(イメグリミン)の作用機序

ツイミーグ(一般名:イメグリミン)は糖尿病治療で使用される薬剤です。 効能・効果 2型糖尿病 用法・用量 1回1000mgを1日2回 朝夕に投与 ツイミーグ(一般名:イメグリミン)はSGLT2阻害薬に続く、新たな作用機序の薬剤として2021年に登場しました。 …

HbA1c と貧血の関係

ヘモグロビンA1c(HbA1c)は血糖コントロールの指標となります。 HbA1c:ヘモグロビン・エーワンシー 基準値:4.3~5.8% HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)は、過去1~2ヶ月の平均血糖値を反映します。 糖が結合したヘモグロビンを…

イリノテカン(CPT-11)の早発性、遅発性の下痢

イリノテカン(CPT-11)はトポイソメラーゼⅠ阻害薬に分類される薬剤です。 トポイソメラーゼ阻害薬はがん細胞のトポイソメラーゼがDNA鎖のねじれを解消して再結合しようとするのを阻害することで、DNAの複製を阻害します。 トポイソメラーゼにはⅠとⅡが…

イリノテカン(CPT-11)と遺伝子多型

イリノテカン(CPT-11)はトポイソメラーゼⅠ阻害薬に分類される薬剤です。 トポイソメラーゼ阻害薬はがん細胞のトポイソメラーゼがDNA鎖のねじれを解消して再結合しようとするのを阻害することで、DNAの複製を阻害します。 トポイソメラーゼにはⅠとⅡが…

オキサリプラチン(L-OHP)による末梢神経障害について

オキサリプラチン(L-OHP)は白金製剤に分類される抗悪性腫瘍薬です。 白金製剤は、構造中に白金(Pt)を含んでおり、DNA鎖間に架橋を形成しDNA合成を阻害することで抗腫瘍効果を発揮します。 yakuzaishi-info.hateblo.jp がん細胞に対する作用…

カルボプラチン(CBDCA)とアナフィラキシーについて

カルボプラチン(CBDCA)は白金製剤に分類される抗悪性腫瘍薬です。 白金製剤は、構造中に白金(Pt)を含んでおり、DNA鎖間に架橋を形成しDNA合成を阻害することで抗腫瘍効果を発揮します。 yakuzaishi-info.hateblo.jp シスプラチンの構造を変…

シスプラチン(CDDP)とマグネシウムによる腎保護作用

シスプラチン(CDDP)は白金製剤に分類される抗悪性腫瘍薬です。 白金製剤は、構造中に白金(Pt)を含んでおり、DNA合成を阻害することで抗腫瘍効果を発揮します。 yakuzaishi-info.hateblo.jp シスプラチンは多くのがんに有効性が認められており、…

ドルゾラミド(トルソプト点眼液)とブリンゾラミド(エイゾプト懸濁性点眼液)の特徴

緑内障の治療で使用される点眼薬は数多くあり、炭酸脱水酵素阻害薬はそのうちの一つです。 yakuzaishi-info.hateblo.jp 炭酸脱水酵素阻害薬には以下の種類があります。 ・ドルゾラミド(トルソプト点眼液) ・ブリンゾラミド(エイゾプト点眼液) ドルゾラミ…

炭酸脱水酵素阻害薬の作用機序

緑内障の治療で使用される点眼薬は数多くあり、炭酸脱水酵素阻害薬はそのうちの一つです。 毛様体筋で産生された房水と呼ばれる液が、角膜と水晶体の間を循環しています。 この房水が血液の代わりに眼の組織に栄養を運んだり、眼圧の調整をしたりしています…

β受容体遮断点眼薬の作用機序と注意点

緑内障の治療で使用される点眼薬は数多くあり、β受容体遮断点眼薬はそのうちの一つです。 毛様体筋で産生された房水と呼ばれる液が、角膜と水晶体の間を循環しています。 この房水が血液の代わりに眼の組織に栄養を運んだり、眼圧の調整をしたりしています。…

ケトプロフェン(モーラス)剥離後、光線過敏症に注意する期間

ケトプロフェン(モーラステープ・パップ・パップXR)は経皮鎮痛消炎剤であり、いわゆる湿布薬です。 抗炎症作用をもつNSAIDs(非ステロイド抗炎症薬)であり、非常によく使用されている湿布薬です。 ケトプロフェン外用剤の注意点の一つに「光線過敏症」…

ジクトルテープの特徴と注意点

ジクトルテープ(有効成分:ジクロフェナクナトリウム)は経皮吸収型の持続性疼痛治療剤になります。 ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)の貼付剤になります。 適応症 ・各種がんにおける鎮痛 ・腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における…

オミデネバグ イソプロピル(エイベリス点眼液)の副作用、注意点

オミデネパグ イソプロピル(エイベリス点眼液)は緑内障・高眼圧症の治療で使用される点眼薬です。 EP2受容体作動薬と呼ばれる分類に属します。 EP2受容体を選択的に刺激して主流出路および副流出路の両方から房水排泄を促進します。 yakuzaishi-info…

オミデネバグ イソプロピル(エイベリス点眼液)の作用機序

オミデネパグ イソプロピル(エイベリス点眼液)は緑内障・高眼圧症の治療で使用される点眼薬です。 EP2受容体作動薬と呼ばれる分類に属します。 適応症 緑内障、高眼圧症 用法用量 1回1滴 1日1回 毛様体筋で産生された房水と呼ばれる液が、角膜と水…

プロスタグランジン(PG)製剤の副作用

プロスタグランジン(PG)点眼薬は使用頻度の高い緑内障治療の代表的な薬剤です。 プロスタグランジン関連薬は、副流出路(またはぶどう膜強膜流出路とも言います)からの房水排泄を促進させることで眼圧を低下させます。 yakuzaishi-info.hateblo.jp プロ…

プロスタグランジン(PG)製剤の作用機序

緑内障の治療で使用される点眼薬は数多くありますが、そのうちのプロスタグランジン(PG)点眼薬は使用頻度の高い緑内障治療の代表的な薬剤と言えます。 毛様体筋で産生された房水と呼ばれる液が、角膜と水晶体の間を循環しています。 この房水が血液の代…

デスロラタジン(デザレックス)の特徴とロラタジンとの違い

デスロラタジン(デザレックス)は第二世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬でありアレルギー性疾患に使用されています。 デスロラタジンはヒスタミンがH1受容体に結合するのを阻害し、鼻水やくしゃみ、痒みなどのアレルギー反応を抑えます。 適応症 ・アレルギー…

マイスリー(一般名:ゾルピデム)の性差について

マイスリー(一般名:ゾルピデム)は非ベンゾジアゼピン系睡眠薬に分類される薬剤です。 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬はベンゾジアゼピン系睡眠薬と同じGABAA受容体へ作用し、Cl-(塩化物イオン)が細胞内に流入し神経活動が抑制され眠りやすくなります。 yak…

ルネスタ(一般名:エスゾピクロン)の特徴

ルネスタ(一般名:エスゾピクロン)は非ベンゾジアゼピン系睡眠薬に分類される薬剤です。 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬はベンゾジアゼピン系睡眠薬と同じGABAA受容体へ作用し、Cl-(塩化物イオン)が細胞内に流入し神経活動が抑制され眠りやすくなります。 y…

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の特徴

今回は非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の特徴についてです。 ベンゾジアゼピン系睡眠薬はベンゼン環とジアゼピン環から成る、ベンゾジアゼピン骨格を持ちます。 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、ベンゾジアゼピン構造を持ちませんが作用部位はベンゾジアゼピン系…