薬剤師いんふぉ

薬剤師の学習記録です

ロペミン(ロペラミド)の作用機序

ロペミン(ロペラミド)は腸管運動を抑制する止瀉剤です。

 

 

  適応症

下痢症

 

 

  用法用量

1日1〜2mgを1〜2回分服
症状により適宜増減

 

 

  作用機序

ロペラミドは大腸のアウエルバッハ神経叢に存在するオピオイド μ 受容体を刺激します。

(アウエルバッハ神経叢:腸管神経の一部。腸管平滑筋の運動を調節しており、交感神経線維と副交感神経線維の療法をもつ)

 

μ 受容体が刺激されると、アセチルコリンの遊離が抑制され、消化管運動が抑制されます。

 

腸管運動が抑制されると、腸管内に食べ物が長く滞留するようになり、より多くの水分が吸収されるようになります。

(便に含まれる水分が多いと下痢、軟便となります)

また、腸管内への水分分泌を抑制するはたらきもあります。

 

モルヒネなどのオピオイド薬と同じように μ 受容体に作用しますが、ロペミン血液脳関門を通過しないので、中枢神経系には作用せず、作用するのは腸管の μ 受容体だけです。

そのため、依存性はなく、鎮痛作用もありません。

しかし、過量投与では昏睡、呼吸抑制、縮瞳、傾眠、尿閉などの中毒症状を引き起こしてしまうことがあり、中毒症状がみられた場合は麻薬拮抗剤であるナロキソン塩酸塩を使用します。

 

 

ロペラミドは止痢作用の高い薬剤であるので便秘に注意し、症状が治まってきたら中止します。

基本的には短期間の使用に留める薬剤です。

 

 

出血性大腸炎や感染性下痢症、潰瘍性大腸炎では、下痢を止めてしまうと症状の悪化や治療期間が長くなってしまうおそれがあるので用いられません。

 

乳幼児に過量投与した場合、中枢神経系障害、呼吸抑制、腸管壊死に至る麻痺性イレウスを起こしたとの報告があり、6ヶ月以上2歳未満の乳幼児には原則禁忌となっています。

 

 

 

 

 

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