薬剤師いんふぉ

薬剤師の学習記録です

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

MAO-B阻害薬の作用機序

MAO-B(モノアミン酸化酵素)阻害薬はパーキンソン病治療の1つです。 パーキンソン病では中脳黒質のドパミン作動性神経の変性により、ドパミンが不足します。 ドパミンが不足することにより、無動、振戦、筋固縮、姿勢反射障害といった運動に関連した症…

甲状腺疾患患者へのイソジンガーグル液使用について

甲状腺機能亢進症では甲状腺ホルモンが過剰に作られる状態であり、代表的なものとしてバセドウ病があります。 過剰に分泌された甲状腺ホルモンにより、手指振戦、動機、頻脈、発汗、倦怠感、眼球突出などの症状が生じてしまいます。 薬物療法では、主に抗甲…

DOACの作用機序

DOAC(直接経口抗凝固剤=Direct Oral Anti Coagulants)は凝固因子を阻害して血栓形成を抑制する抗凝固薬です。 今までは抗凝固薬としてワルファリン(ワーファリン)が使用されていましたが、近年はワルファリンとは異なる作用機序で抗凝固作用を示すD…

ビラスチン(ビラノア)の空腹時投与について

ビラスチン(ビラノア)は第二世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬でありアレルギー性疾患に使用されています。 ビラスチンはヒスタミンがH1受容体に結合するのを阻害し、鼻水やくしゃみ、痒みなどのアレルギー反応を抑えます。 また、肥満細胞からケミカルメデ…

ノイロトロピンの作用機序

ノイロトロピン(有効成分:ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液)は痛みを抑える神経の働きを高めることで、痛みを和らげるお薬です。 ノイロトロピンの有効成分であるワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液は、ウサギの皮膚にワクシニアウイルス…

BCAA製剤の役割

BCAA(Branched Chain Amino Acid:分岐鎖アミノ酸)は、必須アミノ酸の中で炭素骨格が直鎖ではなく分岐しているバリン、ロイシン、イソロイシンの3種類です。 必須アミノ酸ですので、自分では作ることができません。 肝不全の状態では、このBCAAの…

点耳・耳浴の方法

今回は点耳薬の使い方についてです。 点耳薬は殺菌、消炎などの目的で耳孔内に使用されます。 初めて点耳薬を使用する患者さんには使い方をきちんと説明して理解してもらわなくてはいけません。 点耳とは耳に直接薬液を投与することをいい、点耳後しばらくそ…

メトホルミンによる乳酸アシドーシスについて

メトホルミン(メトグルコ)はビグアナイド系経口血糖降下薬です。 作用機序についてはこちらでまとめました。 yakuzaishi-info.hateblo.jp 単独使用では低血糖症状を起こしにくく安全性の高い薬剤ですが、乳酸アシドーシスという頻度は低いものの重篤な副作…

ブリモニジン(アイファガン点眼液)の作用機序と全身性の副作用

ブリモニジン(アイファガン点眼液)は緑内障、高眼圧症の治療に使用される点眼薬です。 ブリモニジンはアドレナリンα2受容体を刺激することで眼圧を降下させるのですが、もう少し詳しくみていきましょう。 眼の中には房水と呼ばれる水分があり、眼圧を一定…

ダンピング症候群について

胃を切除したことで生じる後遺症を、胃切除後症候群と言います。 胃切除後症候群の症状には ・下痢 ・貧血 ・逆流性食道炎 ・骨粗鬆症 ・胃切除後胆石 ・ダンピング症候群 などがあります。 胃を失うことで、このような症状が生じてしまうことがありますが、…

肝性脳症について

肝硬変や肝炎などにより肝臓の機能が低下した際に生じる、意識障害などの中枢性の症状を肝性脳症といいます。 肝機能低下時にみられる症状としては ・腹水 ・浮腫 ・黄疸 ・食道・胃静脈瘤 ・出血傾向 ・肝性脳症 などがあります。 肝性脳症は、意識障害の程…

スボレキサント(ベルソムラ)の作用機序

スボレキサント(ベルソムラ)は不眠症治療に使用される、オレキシン受容体拮抗薬です。 従来のベンゾジアゼピン系睡眠薬や非ベンゾジアゼピン系睡眠薬とは異なる機序の睡眠薬です。 今回はスボレキサントの作用機序について見ていきたいと思います。 オレキ…

ACE阻害薬で空咳が生じる機序

ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害薬の特徴的な副作用に空咳があります。 空咳とは痰の出ない咳のことですね。 レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系 アンジオテンシンノゲン → アンジオテンシンⅠ → アンジオテンシンⅡ ↑ ↑ レニン アンジオテン…

レスピラトリーキノロンについて

ニューキノロン系薬は細菌のDNA・RNA合成を阻害することで抗菌作用を発揮します。 核酸合成阻害薬に分類されます。 ニューキノロン系抗菌薬は、幅広い種類の菌に対して有効であり、広域スペクトル抗菌薬と呼ばれています。 他の種類の抗菌剤に比べて、…

ボノプラザン(タケキャブ)とPPIの違い

ボノプラザン(タケキャブ)は従来のPPIと区別して、カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(Potassium-Competitive Acid Blocker : P-CAB)と呼ばれています。 PPIとH2受容体拮抗薬の違いはこちらでまとめています。 では従来のPPIとボノプラ…

ジクアス点眼液の作用機序

ジクアス点眼液(成分名:ジクアホソルナトリウム)はドライアイ治療点眼薬です。 ドライアイ治療点眼にはヒアレイン点眼液(成分名:ヒアルロン酸ナトリウム)やムコスタ点眼液(成分名:レバミピド)もありますが、ジクアス点眼液はどのような機序でドライ…

レボチロキシン(チラーヂン)とコーヒーの相互作用について

レボチロキシン(チラーヂン)は甲状腺ホルモン製剤であり、甲状腺機能低下症などに使用されています。 甲状腺ホルモンを補ってくれるお薬ですが、レボチロキシンをコーヒーで服用すると、水で服用した時と比べて吸収が低下し、効果が減弱したと報告されてい…

コムクロシャンプーの使い方

コムクロシャンプーは頭部の尋常性乾癬を治療するシャンプー剤です。 有効成分のクロベタゾールプロピオン酸エステルはステロイドであり、強さはⅠ群(strongest)であり最も強いものです。 デルモベートと同成分です。 適応症は 頭部の尋常性乾癬 用法・用量…

バゼドキシフェン(ビビアント)とラロキシフェン(エビスタ)の違い

バゼドキシフェン(ビビアント)とラロキシフェン(エビスタ)はどちらもSERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター:Selective Estrogen Receptor Modulator)です。 SERMの作用機序については以前にこちらでまとめました。 yakuzaishi-info.ha…

クレンブテロール(スピロペント)の腹圧性尿失禁改善作用

クレンブテロール(スピロペント)はβ2刺激作用を持つ薬剤であり、そのβ2刺激作用により気管支を拡張します。 気道閉塞性障害(気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫、急性気管支炎)により気道が狭くなり息苦しくなった状態に使用することで、気道を広げで呼吸…

メトホルミン(メトグルコ)の薬理作用

メトホルミン(メトグルコ)はビグアナイド系経口血糖降下薬(BG薬)です。 古くから2型糖尿病に使用されており、経済性にも優れており欧米では第一選択薬として用いられています。 今回は現在も糖尿病治療薬として処方頻度の多いメトホルミンの作用機序…

α1遮断薬の違い 2

前回の記事でα1受容体遮断薬は第一世代、第二世代に分けられ、α1受容体にはα1A、α1B、α1D3種類のサブタイプがあることを述べました。 yakuzaishi-info.hateblo.jp では、今回はα1受容体のサブタイプについて、さらに見ていきましょう。 α1Bは主に血管平…