薬剤師いんふぉ

薬剤師の学習記録です

ラグノスNFゼリーの作用機序と慢性便秘症

ラグノスNFゼリー(有効成分:ラクツロース)は便秘や高アンモニア血症を改善するお薬です。

 

有効成分のラクツロースは合成二糖類であり、これは高アンモニア血症の治療で使用で使用されてきました。

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ラクツロースは消化吸収されることなく、大腸へと到達します。

そこで腸内細菌により、ラクツロースは乳酸や酢酸などの有機酸に分解されます。

 

この有機酸が腸内のpHを下げて、アンモニアを生成する腸内細菌を減らします。

また、腸内のpHが下がることでアンモニアが吸収されにくくなります。

 

その他にも、ラクツロースは浸透圧作用により腸管内の水分を増やして便を軟らかくします。

ラクツロースにより腸管内の浸透圧が高まり、腸管内への水分分泌が促進されます。

さらに、ラクツロースの分解で生じる乳酸や酢酸などの有機酸は、腸管の運動を促進します。

これらの作用により便通が良くなります。

 

このような作用機序によりラクツロースは、便秘や高アンモニア血症を改善してくれます。

 

 

  適応症/用法用量

・慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)

24g(本剤2包)を1日2回。

症状により適宜増減するが、1日最高用量は72g(本剤6包)まで。

 

・高アンモニア血症に伴う下記症候の改善

  精神神経障害、手指振戦、脳波異常

12〜24g(本剤1〜2包)を1日3回(1日量として本剤3〜6包)。

年齢、症状により適宜増減する。

 

産婦人科術後の排ガス・排便の促進

12〜36g(本剤1〜3包)を1日2回(1日量として本剤3〜6包)。

年齢、症状により適宜増減する。

 

 

同じラクツロース製剤にモニラックシロップがあり、ラグノスNFゼリーはその後発品になります。

ですが、ラグノスにはモニラックにはない慢性便秘症の適応もあるお薬となっています。

(モニラックには「小児における便秘の改善」の適応があります)

今まではラクツロース製剤が便秘に効くことが解っていても、慢性便秘症に使うことはできませんでした。

このラグノスNFゼリーは慢性便秘症で困っている方にも使える薬剤となっています。

(小児への適応はないので、小児へ使用する際はモニラックを使います)

 

浸透圧作用などにより便秘を改善するので、大腸刺激性下剤のような連用により耐性が生じる心配もない薬剤です。

 

アンモニア血症で使用する場合は、便秘をしないように注意し、軟便気味でコントロールするようにします。

 

 

  まとめ

・ラグノスNFゼリーは慢性便秘症の適応ももつラクツロース製剤である

・主に浸透圧作用により便通を改善し、耐性が生じにくい

・高アンモニア血症で使用する場合は、便秘をしないように注意し、軟便気味になるように調節する

 

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