H2受容体拮抗薬であるニザチジン(アシノン)には胃酸の分泌抑制作用と他のH2受容体拮抗薬にはない作用もあります。
今回はそれについてまとめたいと思います。
ニザチジン(アシノン)と言えばH2受容体拮抗薬ですので、胃・十二指腸潰瘍や逆流性食道炎の治療に使用されています。
胃粘膜壁細胞のヒスタミンH2受容体で、ヒスタミンと拮抗することで胃酸の分泌を抑えます。
ではニザチジンのそれ以外の作用についてみていきましょう。
まず、ニザチジンには唾液分泌促進作用が認められています。
ニザチジンに副交感神経週末においてコリンエステラーゼを阻害する作用があり、それによりアセチルコチンの濃度が上昇します。
アセチルコチンがコリンエステラーゼで分解されにくくなるからですね。
増えたアセチルコリンが唾液腺のムスカリン受容体を刺激することで唾液の分泌が促進されます。
唾液分泌量の優位な増加が認められており、適応はありませんがドライマウスの患者さんに使用すれば症状の改善が期待できそうですね。
(ドライマウスの治療ではこちらの薬があります。)
次にみていくのは胃排出促進作用です。
ニザチジンの投与により、胃排出能が促進されることが判っています。
これも先ほど唾液分泌促進作用で述べたアセチルコリンが増えることによるものですね。
コリンエステラーゼを阻害し増えたアセチルコリンが副交感神経に作用することで消化管の運動が亢進されます。
その為、胃排出能が促進されます。
ニザチジン(アシノン)は下部食道括約筋(LES)にも作用します。
下部食道括約筋(LES)とは胃と食道のつなぎめの部分にありますが、ニザチジンが下部食道括約筋圧(LES圧)を上昇させます。
LES圧が上昇することで、LESはしっかりと収縮した状態になるので消化している食べ物や胃酸が逆流してこなくなります。
このように、ニザチジンには
・唾液分泌促進作用
・胃排出能促進作用
・LES圧上昇作用
と、胃酸分泌抑制作用以外にこのようなものがありました。
ニザチジン(アシノン)が処方されていた場合、こうした作用を期待して処方されているのかもしれませんね。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
まとめ
・ニザチジンは胃酸分泌抑制作用の他、唾液分泌促進作用、胃排出促進作用、LES圧上昇作用がある
・ニザチジンのコリンエステラーゼ阻害作用により、アセチルコリン濃度が増えることでこれらの作用が生じていると考えられている