メサラジン製剤(ペンタサ、アサコール、リアルダ)とサラゾスルファピリジン(サラゾピリン)は潰瘍性大腸炎の治療に用いられる薬剤です。
(ペンタサのみクローン病にも適応があります)
どちらも有効成分は5-アミノサリチル酸で、5-ASA製剤と呼ばれます。
メサラジンは5-アミノサリチル酸(5-ASA)そのもので、そのまま投与すると大半が小腸で吸収されてしまうため、放出が調節され大腸まで到達するようにした製剤です。
サラゾスルファピリジンは抗炎症作用を持つメサラジン(5-ASA)とスルファピリジンというサルファ剤の抗菌薬が結合しています。
腸内細菌によりメサラジン(5-ASA)とスルファピリジンに分解され、メサラジンによる抗炎症作用で大腸の炎症を改善します。
サラゾスルファピリジン(SASP) → メサラジン(5-ASA) + スルファピリジン(SP)
スルファピリジンは担体(キャリアー)として結合しており、メサラジンが小腸で吸収されないように大腸まで運ぶ役目をしています。
無事に大腸までメサラジン運んだら腸内細菌により分解され、メサラジンが大腸で働きます。
またサラゾスルファピリジンの1/3は小腸から吸収されてしまいますが、腸肝循環により、ほとんどが大腸まで到達します。
メサラジン製剤とサラゾスルファピリジンは有効成分は同じため、効能にはほとんど差が無いと言われていますが、副作用はメサラジン製剤の方が少ないです。
サラゾスルファピリジンは先ほど述べたようにスルファピリジンを含むため、その分の副作用が生じてしまいます。
悪心・嘔吐などの消化器症状、スティーブンス・ジョンソン症候群、男性不妊などはサラゾスルファピリジンでみられ、スルファピリジンによるものと考えられています。
サラゾスルファピリジンで精子の数や運動性の現象が報告されており男性不妊へつながるおそれがありますが可逆的なものですので、2~3ヶ月の休薬で回復するとの報告もあります。
またスルファピリジンは葉酸の吸収を妨げることがあり、サラゾスルファピリジンを継続服用している場合は葉酸の欠乏にも注意が必要です。
その他にも、尿や汗、爪やコンタクトレンズなどがオレンジ色に着色することがありますが、これは薬の成分の色によるものです。
メサラジンとサラゾスルファピリジンのどちらも潰瘍性大腸炎に有効な薬剤ですが、サラゾスルファピリジンを使用する場合には、このように副作用にも注意が必要です。
まとめ
・サラゾスルファピリジンは抗炎症作用を持つメサラジン(5-ASA)と担体(キャリアー)のスルファピリジンに分解される
・サラゾスルファピリジンとメサラジン製剤は有効成分が同じであり、効能にはほとんど差がない
・スルファピリジンを含まない分、メサラジン製剤の方が副作用は少ない