薬剤師いんふぉ

薬剤師の学習記録です

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

α1遮断薬の違い 1

前立腺肥大症の薬物治療において、α1遮断薬が第一選択薬です。 α1受容体は膀胱頸部や前立腺に多く存在しており、ノルアドレナリンが結合すると膀胱頸部や前立腺内の平滑筋が収縮して、尿道の閉塞が生じてしまいます。 α1受容体遮断薬がα1受容体に作用すると…

点眼薬の1滴量

今までに患者さんから「この目薬は何日分ありますか?」、と質問されたことはあったでしょうか? 1本5mlの目薬を、例えば「1日2回両眼」に使用した場合、何日分となるのでしょうか? 今回は点眼液の1滴量についてまとめたいと思います。 まず、点眼液…

SERMの作用機序

SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター:Selective Estrogen Receptor Modulater)は、骨粗鬆症治療薬の一種です。 SERMはサームと読みます。 ビスホスホネート系製剤や活性型ビタミンD3製剤などのように、骨粗鬆症の治療薬として使用され…

ベピオゲルの使い方と注意点

ベピオゲル(成分名:過酸化ベンゾイル)は尋常性ざ瘡の治療薬です。 尋常性ざ瘡は、いわゆるニキビのことです。 ニキビでは角質層が厚くなり、毛穴が閉塞して皮脂が詰まってしまいます。 閉塞した毛穴の中でアクネ菌などが繁殖すると炎症が生じてしまいます…

インフルエンザで使用する解熱剤

インフルエンザはインフルエンザウイルスの感染により引き起こされ、急な発熱や悪寒、頭痛、筋肉痛、全身倦怠感を特徴とし、咳や鼻水、咽頭痛などの症状を伴います。 治療は感染から48時間以内であれば抗インフルエンザウイルス薬を投与します。 抗インフ…

サリベートエアゾールの使い方

サリベートエアゾールは人工唾液を口腔内に噴霧するお薬です。 口の中に噴霧することで、口に潤いを与えて口の中の粘膜が乾燥するのを防ぎます。 シェーグレン症候群や放射線照射による口腔内乾燥症(ドライマウス)に適応があります。 唾液の分泌障害が起き…

タダラフィル(ザルティア)の作用機序

タダラフィル(ザルティア)は前立腺肥大症に伴う排尿障害治療薬です。 前立腺が肥大して尿が出にくい状態を改善してくれる薬ですね。 前立腺肥大症の治療薬には、前立腺の平滑筋を弛緩させて尿道を広げる選択的α1遮断薬や、5α還元酵素を阻害して前立腺を肥…

腎機能低下による副甲状腺機能亢進症について

以前、副甲状腺ホルモン(PTH:パラトルモン)について以下の記事で述べました。 yakuzaishi-info.hateblo.jp 今回は腎機能低下による副甲状腺機能亢進症について述べていきたいと思います。 副甲状腺機能亢進症は、その名の通り、副甲状腺の機能が亢進し…

ヨウ化カリウムの作用

ヨウ化カリウムは主に甲状腺機能亢進症を伴う、甲状腺腫などに使用される薬剤です。 甲状腺腫やバセドウ病で甲状腺機能が亢進した状態だと、甲状腺ホルモン過剰により、発汗や手指のふるえ、体重減少、全身倦怠感、下痢、動機、眼球突出等の症状が生じてきま…

レボドパ製剤の空腹時投与

レボドパ製剤は脳内で代謝されドパミンとなり、不足しているドパミンを補う代表的なパーキンソン病治療薬です。 減少したドパミンを補うので、理にかなった治療薬ですが長期投与によりwearing off減少やon-off減少などの問題が生じてしまうことがありました…

活性型ビタミンDへの代謝過程

ビタミンDは骨や歯の正常な発育に必要なビタミンです。 ビタミンDの吸収や代謝に問題があると、カルシウムの吸収が低下し骨粗鬆症の原因となってしまいます。 ビタミンDは日光を浴びることで皮膚による合成が可能です。 プロビタミンD3(7-デヒドロコ…

新レシカルボン坐剤の効果発現時間

新レシカルボン坐剤は便秘に使用する坐薬です。 直腸刺激性下剤に分類されます。 成分は炭酸水素ナトリウム・無水リン酸二水素ナトリウムが配合されたものからなり、肛門から直腸へ挿入されると、直腸内の水分と反応し炭酸ガス(二酸化炭素)が発生します。 …

アダパレン(ディフェリンゲル)の使い方

アダパレン(ディフェリンゲル)は尋常性ざ瘡(ニキビ)の治療薬です。 ニキビを専門的な言い方をすると尋常性ざ瘡という言い方になります。 ニキビは皮脂の過剰分泌や角化細胞の増殖による毛穴のつまり、ニキビ菌(アクネ菌)やブドウ球菌の増殖が原因で生…

ルパタジン(ルパフィン)の抗PAF作用について

ルパタジン(ルパフィン)は第2世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬であり、アレルギー性疾患に使用されています。 適応症は ・アレルギー性鼻炎 ・蕁麻疹 ・皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒 用法は 12歳以上の小児及び成人にはルパタジンと…

トレラグリプチン(ザファテック)、オマリグリプチン(マリゼブ)飲み忘れ時の対応

トレラグリプチン(ザファテック)とオマリグリプチン(マリゼブ)はどちらも持続性DPP-4阻害薬であり、週に1度服用すればよいお薬です。 yakuzaishi-info.hateblo.jp ザファテックは武田薬品が、マリゼブはMSDが発売しており、武田薬品はアログリプチ…

統合失調症の陽性症状と陰性症状

統合失調症は10歳代後半~30歳代前半に発症する頻度の高い精神疾患です。 幻覚・妄想や思考障害、意欲低下や無関心、感情鈍麻、引きこもり、認知機能障害などの症状を呈します。 一生のうちで発症する率は約1%で、男女比は1:1とされていますが男性…

DPP-4阻害薬の代謝・排泄経路

DPP-4阻害薬は、食事摂取に伴い消化管から分泌されたインクレチンであるGLP-1やGIPを分解する酵素であるジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)活性を阻害することで、インクレチン濃度を上昇させてインスリン分泌を促進します。 DPP-4阻…

ファンギゾンシロップの飲み方

ファンギゾンシロップはカンジダを殺菌し、口腔内や食道など消化管カンジダ症を治療する薬です。 有効成分はアムホテリシンBでポリエンマクロライド系抗真菌薬に分類されます。 適応は「消化管におけるカンジダ異常増殖」です。 作用機序についてです。 ア…

ストロングスタチンの比較

PATROL試験は3種のストロングスタチンの有効性を直接比較した試験で2010年に報告されました。 スタチン系薬剤は全部で6種類ありますが、LDLコレステロールの低下率が高いアトルバスタチン(リピトール)、ピタバスタチン(リバロ)、ロスバス…

サラゾスルファピリジン(サラゾピリン)とメサラジン製剤の違い

メサラジン製剤(ペンタサ、アサコール、リアルダ)とサラゾスルファピリジン(サラゾピリン)は潰瘍性大腸炎の治療に用いられる薬剤です。 (ペンタサのみクローン病にも適応があります) どちらも有効成分は5-アミノサリチル酸で、5-ASA製剤と呼ばれ…

ラモセトロン(イリボー)の便秘時の対応、女性への投与量

過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome : IBS)は、器質的変化や代謝性疾患がないにもかかわらず、腹痛・腹部不快感と便通異常(下痢、便秘)を主体とする症状が長期間持続もしくは再燃・寛解を繰り替える下部消化管障害です。 便の状態により、便秘…

SU薬による体重増加

経口血糖降下薬の一種であるSU薬(スルホニル尿素薬)は、インスリン分泌を促し血糖値を下げるお薬です。 SU薬にはグリメピリド(アマリール)、グリクラジド(グリミクロン)、グリベンクラミド(オイグルコン/ダオニール)などがあります。 作用機序…

ウルソデオキシコール酸(ウルソ)の肝保護作用

ウルソデオキシコール酸(ウルソ)は利胆剤であり、古くから肝臓を守る薬として使用されてきました。 利胆とは胆汁の分泌を促す作用のことをいいます。 この作用により、胆汁の流れを良くしたり、胆石を溶かしたりする作用、肝臓の機能を改善したり、消化不…

ドパミンアゴニスト 麦角系と非麦角系の違い

ドパミン受容体作動薬(アゴニスト)はレボドパと並んでパーキンソン病の代表的な治療薬です。 線条体のドパミン受容体を刺激し、ドパミン作用を発現します。 効果はレボドパ製剤よりも弱いとされていますが、レボドパ製剤服用で問題となるwearing off現象や…

PPIとH2受容体拮抗薬の違い

消化性潰瘍治療薬である、プロトンポンプ阻害薬(PPI)とH2受容体拮抗薬。 どちらも酸分泌を抑える攻撃因子抑制薬です。 ここではこの2種類の薬剤の違いと特徴を見ていきたいと思います。 まずPPIの作用機序ですが、胃壁細胞のH+分泌の最終段階で…