薬剤師情報局

薬剤師の学習記録です

メサラジン製剤(ペンタサ、アサコール、リアルダ)の違い

メサラジンは炎症性腸疾患(IBD)の治療薬として使用されています。

 

炎症性腸疾患にはクローン病(CD)潰瘍性大腸炎(UD)があります。

 

どちらも原因が不明で、症状や好発部位が異なる疾患であり、使用する治療薬は若干異なります。

 

クローン病潰瘍性大腸炎どちらも免疫反応の異常から炎症が起こっていると考えられています。

 

これらの疾患に抗炎症作用をもつメサラジン製剤が使用されています。

 

メサラジンは5-ASAとも呼ばれます。

化学名が5-アミノサリチル酸なので5-ASAなのですね。

 

メサラジン(5-ASA)は、

炎症性細胞から放出される活性酸素を取り除くこと

炎症を引き起こすロイコトリエン(LTB4)の産生を阻害すること

により抗炎症作用を示すとされています。

 

メサラジンは炎症性腸疾患の基本的治療薬です。

症状が強い場合はステロイドや免疫抑制薬、抗TNF-α抗体製剤が用いられる場合があります。

 

ではメサラジン製剤にはどのようなものがあるのでしょうか。

 

メサラジン製剤のうち内服薬には

ペンタサアサコールリアルダといった薬剤があります。

 

まずペンタサ錠はクローン病潰瘍性大腸炎のどちらにも適応があります。

 

エチルセルロースフィルムでコーティングされた徐放性の腸溶剤となっています。

 

メサラジンをそのまま内服すると、ほとんどが小腸で吸収されて大腸まで届かなくなってしまいますが、放出を調節されたペンタサ錠では小腸から大腸にかけて全体的にメサラジンが放出されるようになっています。

 

その為、錠剤を分割することはできますが噛んで服用しないように指導します。

 

次にアサコール錠についてです。

 

アサコールもメサラジン製剤ですが、こちらは潰瘍性大腸炎の適応しかありません。

 

アサコールは高分子ポリマーでコーティングをされており、これはpH7以上で溶解するように設計されています。

 

pH7以上になるのは回腸末端から大腸にかけてであり、そこで溶解しメサラジンが放出されます。

 

その為、ペンタサとは異なり小腸では作用しないため、クローン病の適応がアサコールにはありません。

 

主に大腸に病変部がある潰瘍性大腸炎に用いられます。

 

最後にリアルダ錠ですが、こちらも適応は潰瘍性大腸炎のみとなっています。

 

リアルダも高分子ポリマーでコーティングされており、pH7以上で溶解するように設計されていますが、こちらはコーティングが崩壊した後はゲル化されることにより放出がゆっくりしたものになります。

 

直腸まで大腸全体にメサラジンが放出されます。

 

持続性にすぐれておりリアルダの投与回数は1日1回となっています。

(ペンタサ、アサコールは1日3回)

 

溶出性が変化するのを防ぐため、リアルダは冷所保管をする薬剤です。

 

 

  まとめ

・ペンタサ錠はクローン病潰瘍性大腸炎どちらにも適応がある

アサコール錠、リアルダ錠の適応は潰瘍性大腸炎のみ

・リアルダ錠は1日1回の製剤で冷所保存をする