薬剤師情報局

薬剤師の学習記録です

グリセリン浣腸の使い方

便秘時に使用されている、浣腸剤であるグリセリン浣腸。

 

今回はその使い方や注意点の再確認です。

 

グリセリン浣腸は速効性があり、速やかに排便を促したいときや、硬結便がある場合に使用されます。

 

グリセリンが組織から水を吸収し、腸壁を刺激して蠕動運動を促進することで排便が起きます。

 

では使い方を見ていきましょう。

 

まず使用前に約40℃の温湯に入れて体温近くまで温めます。

この位の温度が適度に腸粘膜を刺激して、蠕動運動が促進されます。

直腸温よりもやや高めの温度なので患者も気持ちが良いと感じることができます。

 

温度が高すぎると刺激が強くなり組織を障害するおそれがありますし、低すぎると血圧上昇などにつながるおそれがあり使用する温度には注意が必要です。

 

容器内の空気を追い出し、ストッパーを挿入深度に合わせます。

挿入の目安は大人で5~7cm、小児で3~4cmくらいです。

 

先端部の周囲を浣腸液で潤すか、オリブ湯やワセリンを使用すると挿入しやすくなります。(初めから潤滑剤が塗布されているものもあります)

 

挿入時の体位は左側を下にして横向きになってください。

膝を軽くお腹の方に曲げて前屈気味の姿勢を取ります。

左下にすると腸の走行に対して、S状結腸以下の部分が圧迫なく自然な位置で浣腸をすることができ浣腸液を到達させられるからです。

 

立位での浣腸が禁止されている理由ですが、立った状態で浣腸をすると直腸前壁にチューブが当たり直腸粘膜を傷つけてしまうおそれがあるからです。

必ず横向きの姿勢で浣腸をするようにしましょう。

 

小さい子の場合はオムツ替えの体制で足を持って浣腸をしても構いません。

 

注入はゆっくりとした速度で行うようにします。

早すぎると排便反射が起こってしまいますが、遅すぎるても便意を我慢できなくなってしまうので注意します。

注入速度は50ml/15秒程度を目安にするとよいそうです。

 

注入が終わったら脱脂綿やトイレットペーパーで肛門を押さえてからチューブを抜き、その後も押さえておきます。

 

注入後2~5分で、便意が強まったら排便をします。

 

通常は5分以内に便意が起こりますが、便の軟化に時間が少しかかります。

注入後すぐに排便をしてしまうと浣腸液だけが出てきてしまいます。

 

患者にはできれば3分くらい我慢してから排便をするように指導します。

 

またグリセリン浣腸を長期間連用すると大腸壁が刺激に慣れて耐性が生じてしまうため、使用するのは便秘で困っている時だけにした方がよい薬剤です。

 

 

  まとめ

・使用前に温湯で約40℃まで温める

・挿入時は左側を下にして横になる

・ゆっくりと注入を行う

・3分くらい我慢してから排便をする