薬剤師いんふぉ

薬剤師の学習記録(ブログ)と体験談も少しあります

抗悪性腫瘍薬

抗EGFR抗体薬の作用機序

EGFRとは 上皮増殖成長因子受容体(EGFR:Epidermal growth factor receptor)は上皮細胞などに発現が認められている膜貫通型の受容体です。 EGFRは細胞の増殖、分化、維持の調節に関与しています。 リガンド(増殖因子)がEGFR受容体に結合…

PARP阻害剤の作用機序

今回は「PARP阻害薬」についてです。 PARP阻害剤はPARP(ポリアデノシン5’二リン酸リボースポリメラーゼ)という損傷したDNAを修復する酵素を阻害することで 抗腫瘍効果を発揮する薬剤です。 (PARPは ”パープ”と読みます) PARPが…

CDK4/6阻害薬の作用機序

CDK4/6阻害薬(CDK:Cyclin Dependent Kinase)は「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん」に使用される薬剤です。 CDK4/6とは CDK4/6とは「サイクリン依存性キナーゼ」のことであり、細胞分裂にストップがか…

LH-RHアゴニスト製剤について

LH-RHアゴニスト製剤は、閉経前乳がん、前立腺がんに使用されている薬剤です。 LH-RHとは視床下部から分泌される、「黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH-RH:Luteinizing Hormone - Releasing Hoemone)」のことです。 (アゴニストは作動薬であ…

抗エストロゲン薬について

抗エストロゲン薬は乳がん細胞において、エストロゲンの作用を阻害することで乳がんを治療する薬剤です。 エストロゲンとは 女性ホルモンには「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類があります。 エストロゲン(E)…

アロマターゼ阻害薬について

アロマターゼ阻害薬(AI:Aromatase Inhibitor)は、閉経後乳癌に使用される薬剤です。 エストロゲンとは 女性ホルモンには「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類があります。 エストロゲン(E)は卵胞の発育と…

タイケルブ(ラパチニブ)の作用機序

タイケルブ(一般名:ラパチニブ)はEGFR/HER2チロシンキナーゼ阻害薬です。 規格 タイケルブ錠250mg 適応症 HER2過剰発現が確認された手術不能又は再発乳癌 用法用量 ・カペシタビンと併用 1回1250mg ・アロマターゼ阻害薬と併用 …

エンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)の作用機序

エンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)はトラスツズマブとデルクステカンを結合させた抗体薬物複合体です。 規格 エンハーツ点滴静注用100mg 適応症 ・化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌(標準的な治療が困難な場合に限る) …

カドサイラ(トラスツズマブ エムタンシン)の作用機序

カドサイラ(トラスツズマブ エムタンシン)はトラスツズマブとエムタンシンを結合させた抗体薬物複合体です。 規格 カドサイラ点滴静注用100mg(注射用水5ml添付) 160mg(注射用水8ml添付) 適応症 ・HER2陽性の手術不能又は再発乳癌 …

ハーセプチン(トラスツズマブ)、パージェタ(ペルツズマブ)併用療法

ハーセプチン(一般名:トラスツズマブ)は抗HER2抗体薬であり、HER2過剰発現が確認された乳癌・胃がんに使用されます。 パージェタ(一般名:ペルツズマブ)は抗HER2抗体薬であり、HER2過剰発現が確認された乳癌に使用されます。 ハーセプ…

パージェタ(ペルツズマブ:PER)投与の注意点

パージェタ(一般名:ペルツズマブ)は抗HER2抗体薬であり、HER2過剰発現が確認された乳癌に使用されます。 規格 パージェタ点滴静注420mg/14mL 適応症 HER2陽性の乳癌 用法用量 トラスツズマブと他の抗悪性腫瘍薬との併用において、 …

ハーセプチン(トラスツズマブ:HER)投与の注意点

ハーセプチン(一般名:トラスツズマブ)は抗HER2抗体薬であり、HER2過剰発現が確認された乳癌・胃がんに使用されます。 規格 ハーセプチン注射用60(溶解液:日局注射用水3.0ml) ハーセプチン注射用150(溶解液:日局注射用水7.2ml)…

フェソロデックス(フルベストラント)の作用機序

フェソロデックス(一般名:フルベストラント)は抗エストロゲン薬であり乳がんの治療に使用されます。 適応症 乳癌 用法用量 本剤2筒(フルベストラントとして500mg含有)を、初回、2週後、4週後、その後4週ごとに1回、左右の臀部に1筒ずつ筋肉内投与…

ビダーザ(アザシチジン:AZA)の作用機序

ビダーザ(アザシチジン:AZA)はピリミジン代謝拮抗薬(シチジン系)に分類される抗がん剤です。 yakuzaishi-info.hateblo.jp デオキシリボヌクレオチドについて デオキシリボヌクレオチドはDNAの構成単位です。 核酸塩基+糖+リン酸から成ります。 核…

ジェムザール(ゲムシタビン:GEM)の作用機序

ジェムザール(ゲムシタビン:GEM)はピリミジン代謝拮抗薬(シチジン系)に分類される抗がん剤です。 yakuzaishi-info.hateblo.jp デオキシリボヌクレオチドについて デオキシリボヌクレオチドはDNAの構成単位です。 核酸塩基+糖+リン酸から成りま…

キロサイド(シタラビン:Ara-C)の作用機序

キロサイド(シタラビン:Ara-C)はピリミジン代謝拮抗薬(シチジン系)に分類される抗がん剤です。 yakuzaishi-info.hateblo.jp デオキシリボヌクレオチドについて デオキシリボヌクレオチドはDNAの構成単位です。 核酸塩基+糖+リン酸から成ります。 …

ユーエフティ(テガフール・ウラシル:UFT)の作用機序

ユーエフティ(テガフール・ウラシル:UFT)はフッ化ピリミジン代謝拮抗薬です。 yakuzaishi-info.hateblo.jp 適応症 テガフール・ウラシル通常療法 頭頸部癌、胃癌、結腸・直腸癌、肝臓癌、胆のう・胆管癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、膀胱癌、前立腺癌、子宮…

メソトレキセート(メトトレキサート:MTX)とロイコボリン救援療法

メソトレキセート(メトトレキサート:MTX)は葉酸拮抗薬であり、がん治療に使用されている薬剤です。 葉酸に似た構造をしており、葉酸と同じように代謝を受けることで、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)を阻害することでDNA合成を抑制し抗腫瘍効果を…

アリムタ(ペメトレキセド:PEM)と副作用対策としての葉酸とビタミンB12投与

アリムタ(ペメトレキセド:PEM)は葉酸拮抗薬であり、がん治療に使用されている薬剤です。 葉酸に似た構造をしており、葉酸と同じように代謝を受けることで、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)やチミジル酸合成酵素(TS)など複数の葉酸代謝酵素を阻害…

カルボプラチン(CBDCA)の投与量 カルバート式

カルボプラチン(CBDCA)は白金製剤に分類される抗悪性腫瘍薬です。 白金製剤は、構造中に白金(Pt)を含んでおり、DNA合成を阻害することで抗腫瘍効果を発揮します。 yakuzaishi-info.hateblo.jp カルボプラチンは腎排泄型の薬剤です。 シスプラ…

パクリタキセル(タキソール)の過敏症対策

パクリタキセル(タキソール):PTXは微小管阻害薬のタキサン系に分類される薬剤です。 yakuzaishi-info.hateblo.jp 難水溶性 過敏症と対策 アルコールによる酩酊症状 難水溶性 パクリタキセルは水にとても溶けにくい性質をしています。 なんとか溶かすた…

抗HER2抗体薬の作用機序と心毒性

抗HER2抗体薬はヒト上皮成長因子受容体2型(HER2)に対するヒト化抗体製剤です。 HER2について 抗HER2抗体薬の作用機序 抗HER2抗体薬による心毒性 抗HER2抗体薬の種類 HER2について ヒト上皮成長因子受容体(HER:human epi…

白金製剤 特徴や副作用について

白金製剤は、構造中に白金(Pt)を含んでおり、DNA合成を阻害することで抗腫瘍効果を発揮します。 yakuzaishi-info.hateblo.jp 白金製剤は、第一世代のシスプラチン、第二世代のカルボプラチン、ネダプラチン、第三世代のオキサリプラチンがあります。 …

分子標的薬 抗体薬と小分子薬について

分子標的薬はがん細胞が特異的に発現している分子を標的にして攻撃します。 増殖を開始するシグナル伝達を抑え、がん細胞の増殖や血管新生を阻害したりします。 yakuzaishi-info.hateblo.jp 殺細胞性抗がん薬は細胞分裂している がん細胞を攻撃するものでし…

シスプラチン(CDDP)投与時のハイドレーションについて

シスプラチン(CDDP)は白金製剤に分類される抗悪性腫瘍薬です。 白金製剤は、構造中に白金(Pt)を含んでおり、DNA合成を阻害することで抗腫瘍効果を発揮します。 yakuzaishi-info.hateblo.jp 腎障害が起こる原因 腎障害予防のハイドレーション 尿…

ロンサーフ配合錠(TASー10)の作用機序

ロンサーフ配合錠(TAS-102:トリフルリジン・チピラシル塩酸塩)は経口ヌクレオシド系抗悪性腫瘍薬です。 用法用量についてはこちらです。 yakuzaishi-info.hateblo.jp 作用機序 トリフルリジン(FTD) チピラシル塩酸塩(TPI) 主な有害事象 …

ロンサーフ配合錠(TAS-102)の用法用量

ロンサーフ配合錠(TAS-102:トリフルリジン・チピラシル塩酸塩)は経口ヌクレオシド系抗悪性腫瘍薬です。 適応症 用法用量 食後服用 減量基準 投与開始基準投与再開基準 休薬基準 適応症 治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌 がん化学療法後に増…

ティーエスワン(S-1)の注意点

ティーエスワン(S-1:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)はピリミジン代謝拮抗薬に分類される抗悪性腫瘍薬です。 作用機序などについてはこちらです。 yakuzaishi-info.hateblo.jp 服用は食後 腎障害のある患者への投与量 併用禁忌薬 併用注意…

ティーエスワン(S-1)の作用機序

ティーエスワン(S-1:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)はピリミジン代謝拮抗薬に分類される抗悪性腫瘍薬です。 適応症 用法用量 作用機序 テガフール ギメラシル オテラシルカリウム 適応症 胃癌、結腸・直腸癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、手…

抗がん薬の種類

近年、抗がん薬は様々な作用機序をもつものが次々と登場しています。 従来からの抗がん薬もキードラックとして依然使用されており、治療の選択が大きく増えています。 抗がん薬は主に以下の4種類に大きく分類することができます。 ・殺細胞性抗がん薬 ・分…