以前にD2受容体拮抗薬である、ドンペリドン(ナウゼリン)とメトクロプラミド(プリンペラン)の特徴や違いについてまとめました。
消化管運動を改善するD2受容体拮抗薬にはもう一つあり、それがイトプリド(ガナトン)です。
まず、適応症は
慢性胃炎における消化器症状
(腹部膨満感,上腹部痛,食欲不振,胸やけ,悪心,嘔吐)
用法用量は
1日150mg(3錠)を3回に分けて食前に投与
となっています。
ドンペリドンやメトクロプラミドと違い、抗悪性腫瘍薬による嘔吐には適応がありません。
D2受容体遮断薬ですので、ドンペリドンやメトクロプラミド同様に制吐作用を発揮します。
CTZのD2受容体を遮断することで、中枢性の嘔吐を抑制します。
また、消化管のD2受容体を遮断しアセチルコリンの遊離を促進します。それにより消化管運動が改善され、末梢性嘔吐を抑制します。
ここまでは、ドンペリドンやメトクロプラミドと同じですが、イトプリドにはコリンエステラーゼ阻害作用もあります。
消化管運動を促進するアセチルコリンはコリンエステラーゼにより分解されてしまいます。
イトプリドが消化管のD2受容体を遮断し、アセチルコリンが遊離します。
さらに、アセチルコリンエステラーゼを阻害することで、アセチルコリンが分解されないようにして作用を強めています。
これらの協力作用により消化管運動亢進作用を発揮しています。
また、ドンペリドンやメトクロプラミドと比べて相互作用のある薬剤は少ない
ものとなっています。
錐体外路症状の頻度は高くありませんが、同様に注意は必要です。
まとめ
・イトプリドにはD2受容体遮断作用と、アセチルコリンエステラーゼ阻害作用をもつ
・これらの協力作用により消化管運動を亢進する