薬剤師いんふぉ

薬剤師の学習記録です

モビコール配合内用剤の作用機序と服用方法

モビコール配合内用剤は慢性便秘症の治療に使用されている薬剤です。

有効成分はマクロゴール、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カリウムです。

 

 適応症

慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)

 

 用法用量

本剤は、水で溶解して経口投与します。

 

2歳以上7歳未満の幼児には初回用量として1回1包を1日1回。

以降、症状に応じて適宜増減し、1日1〜3回、最大投与量は1日量として4包まで(1回量として2包まで)。

ただし、増量は2日以上の間隔をあけて行い、増量幅は1日量として1包まで。

 

7歳以上12歳未満の小児には初回用量として1回2包を1日1回。

以降、症状に応じて適宜増減し、1日1〜3回、最大投与量は1日量として4包まで(1回量として2包まで)。

ただし、増量は2日以上の間隔をあけて行い、増量幅は1日量として1包まで。

 

成人及び12歳以上の小児には初回用量として1回2包を1日1回。

以降、症状に応じて適宜増減し、1日1〜3回、最大投与量は1日量として6包まで(1回量として4包まで)。

ただし、増量は2日以上の間隔をあけて行い、増量幅は1日量として2包まで。

 

年齢により用量が変わるので注意が必要です。

 

 

モビコールに含まれるマクロゴールはポリエチレングリコールとも呼ばれる高分子量の化合物です。

モビコールはポリエチレングリコール電解質が配合されたお薬です。

 

モビコールは1包あたりを約60ml(コップ1/3程度)の水で溶解します。

お湯で溶解すると、特異なにおいがするようになったり、成分の1つである炭酸水素ナトリウムが速やかに分解してしまうので水で溶解するようにします。

 

無色透明でわずかに塩味がするそうです。

小さなお子さんなど味が苦手な方は、リンゴジュースなど水以外の冷たい飲料に溶かして服用することも可能です。

やむを得ず保存する必要がある場合は、冷蔵庫に保存し、できるかぎり速やかに服用することとされています。

 

モビコールを水で溶かして服用すると、ポリエチレングリコールに保持された水分が途中で吸収されずに大腸まで到達し、硬い便に水分を届けます。

水分を含んで便の容積が増大することで、大腸の蠕動運動が自然に活発になり、排便が促進されます。

大腸内にも水分が増えているので、これらの作用によりスムーズな排便が生じます。

 

便秘の方は大腸での水分が不足しがちなのですが、水分を多く摂取しても余分な水分が小腸で吸収されてしまい大腸まで到達しにくいです。

モビコールはこうした問題を改善してくれるお薬です。

 

また、モビコールには塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カリウムといった電解質が含まれており、腸内の電解質バランスを維持して、体内の浸透圧と同程度になるようにされています。

そのため体内の水分動態に影響は無く、体から水分を奪う心配もありません。

 

 

  まとめ

・モビコール1包あたりを約60ml(コップ1/3程度)の水で溶解する

・大腸まで水分が吸収されずに到達して、腸内の水分を増やし、便の容積を増大する

・腸管内の浸透圧を、体内の水分に影響を与えない程度まで高める

 

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