酸化マグネシウムは塩類下剤に分類される便秘薬です。
腸管内の浸透圧を高めることで水分を腸管内へ引き込み、便を軟化させ排便を促します。
効果は穏やかですが、刺激性下剤に比べて長期投与による習慣性が少ないです。
(刺激性下剤は長期投与で耐性が生じやすいため頓用での使用が望ましい薬剤です。)
そのため、長期間の投与となってしまいがちですが、注意が必要な点もあります。
その1つが、高マグネシウム血症です。
高マグネシウム血症とは、その名前の通り血清マグネシウムが高値となってしまった状態です。
【基準値:1.8~2.5mg/dL】
血清マグネシウム値が高値となると以下のような症状が生じてくると言われています。
4.9mg/dL~
悪心、嘔吐、起立性低血圧、徐脈、皮膚紅潮、倦怠感、筋力低下、傾眠、無気力等
6.1~12.2mg/dL
PR、QT延長
9.7mg/dL~
腱反射消失、随意筋麻痺、嚥下障害、房室ブロック、低血圧等
18.2mg/dL~
昏睡、呼吸筋麻痺、低血圧、心停止等
酸化マグネシウムは汎用されている薬剤ですが、高マグネシウム血症の発現には中止しなくてはいけません。
注意が必要なケースとして
・高齢者
・腎機能障害がある患者
があげられます。
腎臓を通して薬が排泄されるため、腎機能が低下している場合では酸化マグネシウムの排泄ができず高マグネシウム血症が生じるおそれがあります。
また、便秘症の患者では腎機能が正常である場合や通常用量以下の使用であっても、重篤化した症例も報告されています。
使用する際は以下の点に注意するようにします。
・漫然と使用せず、必要最低限の使用にする
・長期服用している場合は、定期的に血清マグネシウム濃度を測定する
・高マグネシウム血症の症状が生じた場合は、すぐに服用を中止し医療機関を受診する
患者さんには、
吐き気や立ちくらみ、倦怠感や力が入りにくい、脈が遅くなる、眠気がする
といった症状が生じた場合は申し出るように説明しましょう。