薬剤師いんふぉ

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タイケルブ(ラパチニブ)の作用機序

タイケルブ(一般名:ラパチニブ)はEGFR/HER2チロシンキナーゼ阻害薬です。

 

 

 

規格

タイケルブ錠250mg

 

 

 

 

適応症

HER2過剰発現が確認された手術不能又は再発乳癌

 

 

 

 

 

用法用量

・カペシタビンと併用  1回1250mg

・アロマターゼ阻害薬と併用  1回1500mg

 

いずれも1日1回、食事の1時間以上前又は食後1時間以降に服用する

 

カペシタビンと併用する場合は、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍薬、タキサン系抗悪性腫瘍薬及びトラスツズマブによる化学療法後の増悪もしくは再発例を対象とすること

 

 

 

 

 

 

食後投与を避ける理由

タイケルブは脂溶性が高い薬剤です。

食後に服用した場合、CmaxおよびAUCが上昇した報告があります。

食事の影響を避けるため、食時の前後1時間以内の服用は避けるようにします。

 

内pHが上昇した場合では、溶解度が低下して吸収が低下する可能性があります。

ネキシウムと併用した場合では、AUCが約15%減少した報告があります。

 

 

また、1回の投与量を1日2回に分割した場合、AUCが上昇した報告があるので分割投与も避けるようにします。

 

 

 

 

 

EGFRとは

細胞表面にはヒト上皮細胞増殖因子受容体(EGFR:Epidermal Growth Factor Receptor)が存在しており、細胞増殖に関与しています。

 

EGFRは「HER1」とも呼ばれます。

 

HERファミリーはHER1~4の4種類あり、EGFRはその中の1つです。

※ヒト上皮成長因子受容体(HER:human epidermal growth factor receptor)

 いずれも細胞表面に存在している、細胞増殖に関与する蛋白質です。

 

 

リガンド(EGFなど)がEGFRに結合すると、EGFRは二量体を形成します。

(リガンド:特定の受容体に特異的に結合する物質)

(二量体:ダイマーともいう。2つの同種の分子が物理的・化学的な力によってまとまったもの)

 

リガンドの結合により二量体を形成したEGFRは、細胞内領域にあるチロシンキナーゼを活性化します。

 

チロシンキナーゼは特定の標的(基質)の蛋白質をリン酸化することで活性化する酵素です。

 

活性化したチロシンキナーゼによりリン酸化が進み、細胞内のシグナル伝達が起こり、細胞増殖やアポトーシスの回避へとつながります。

 

 

 

 

 

HER2とは

細胞増殖に関与しているヒト上皮成長因子受容体HER:human epidermal growth factor receptor)には、HER1(EGFR)、HER2、HER3、HER4の4種類があります。

HER2はそのうちの1つです。

 

HER1=EGFRでしたね。

 

HER2も細胞膜表面に存在しており、

リガンド(増殖因子)が結合した他のHERと二量体(ダイマー)を形成すると、細胞内領域にあるチロシンキナーゼが活性化されます。

これにより細胞内へシグナル伝達が起こり、細胞増殖が起こります。

 

HER2が過剰に発現していると、リガンド(増殖因子)がなくてもHER2同士または、他のHERと二量体を形成して、次々と細胞内へ増殖のシグナル伝達が送られてしまい細胞増殖が続きます

 

がん細胞の中にはHER2をたくさん持つものがあり、この過剰に発現しているHER2により、がん細胞の増殖が次々と行われていきます。

 

 

 

 

作用機序

タイケルブ(一般名:ラパチニブ)は、EGFRとHER2のチロシンキナーゼを阻害することで、シグナル伝達を阻害して、細胞増殖を抑制します。

 

タイケルブは分子量が小さく、細胞膜を通過して細胞内に入ることができます。

 

それにより、細胞内領域にあるチロシンキナーゼに直接結合して活性化を阻害することが可能です。

 

 

 

 

 

代謝について

タイケルブ(一般名:ラパチニブ)は主にCYP3A4およびCYP3A5で、

一部CYP2C19およびCYP2C8で代謝されます。

 

CYP3A4を阻害するイトラコナゾールなどの薬剤やグレープフルーツジュース

CYP3A4を誘導するカルバマゼピンやリファンピシン等の薬剤とは併用注意となっています。

 

 

 

 

 

副作用

特に注意が必要な副作用では、

肝機能障害、間質性肺疾患、心障害、下痢、下痢、QT間隔延長などがあります。

 

HER2に作用することから、抗HER2抗体薬のハーセプチン(一般名:トラスツズマブ)と同様に、心障害が起こる可能性があります。

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カペシタビンと併用する場合は、手足症候群等の皮膚障害や下痢が生じやすくなります。

 

不整脈薬との併用ではQT間隔延長を起こしたり、悪化させる可能性があります。

 

 

 

 

 

治療対象

「HER2陽性転移・再発乳癌」では、抗HER2療法の一次療法で

ハーセプチン(一般名:トラスツズマブ)

・パージェタ(一般名:ペルツズマブ)

・タキソテール(一般名:ドセタキセル

の3剤併用療法が選択されることが多いです。

タキソテール(一般名:ドセタキセル)による毒性が生じて継続困難な場合は抗HER2薬 2剤で継続します。

 

 

そして効果がみられなくなってきた場合の二次療法では

・カドサイラ(トラスツズマブ エムタンシン)

の単独療法が推奨されています。

 

 

現時点では、

タイケルブ(一般名:ラパチニブ)+ゼローダ(一般名:カペシタビン)

は3次療法以降に使用されるレジメンでしょうか。

 

3次療法で使用される薬剤にはエンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)もあります。

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