キロサイド(シタラビン:Ara-C)はピリミジン代謝拮抗薬(シチジン系)に分類される抗がん剤です。
デオキシリボヌクレオチドについて
デオキシリボヌクレオチドはDNAの構成単位です。
核酸塩基+糖+リン酸から成ります。
核酸塩基にはA(アデニン)、G(グアニン)、C(シトシン)、T(チミン)の4種類があります。
これらの核酸塩基と糖、リン酸が結合したもの(デオキシリボヌクレオチド)をそれぞれdATP、dGTP、dCTP、dTTPと呼びます。
DNA合成について
DNA合成はDNAポリメラーゼという酵素が行います。
DNAポリメラーゼは先ほどのデオキシリボヌクレオチド(dATP、dGTP、dCTP、dGTP)を材料として使用し、DNA鎖につなぎ合わせて鎖を伸ばしていきます。
細胞周期ではS期に当たります。
キロサイドの作用機序
キロサイド(シタラビン)はデオキシリボヌクレオチドのうちのシトシン(C)が結合したdCTPに類似した構造をしています。
糖の部分がデオキシリボースではなく、アラビノースになっています。
キロサイド(シタラビン:Ara-C)は体内でリン酸化を受けてAraCTPとなります。
dCTPと構造が似ているAraCTPはがん細胞内で、DNAポリメラーゼがdCTPをDNA鎖に組み込もうとするのを阻害します。
また、自身がDNA鎖に組み込まれてDNA鎖が伸びるのを阻害します。
dCTPの偽物ですのでDNA鎖に組み込まれても、DNA伸長の材料になることはできません。
細胞周期のS期に作用する時間依存性の薬剤です。
このようにしてキロサイド(シタラビン)は抗腫瘍効果を発揮します。