パクリタキセル(タキソール):PTXは微小管阻害薬のタキサン系に分類される薬剤です。
難水溶性
パクリタキセルは水にとても溶けにくい性質をしています。
なんとか溶かすために、溶媒にヒマシ油(ポリオキシエチレンヒマシ油)とアルコール(無水エタノール)が使用されています。
過敏症と対策
添加物としてヒマシ油を含むため、投与開始直後に過敏症(蕁麻疹、血圧低下、頻脈、紅斑、呼吸困難等)を起こしてしまうことがあります。
添付文書では過敏症の頻度は5~20%とされています。
しかしこれは、投与前の前投薬を行うことで回避することができます。
前投薬では
・H1受容体拮抗薬 ジフェンヒドラミン
の3種類を投与します。
これらの前投薬は不可欠ですが、必ずしも過敏症を防げるわけではないので状態には注意が必要です。
アルコールによる酩酊症状
パクリタキセルにはアルコールも含まれています。
パクリタキセル300mgにはビール約500mL分のアルコールが含まれます。
そのため、アルコールに弱い患者では慎重投与となりますし、治療当日は車を運転してこないように指導をします。
治療後に運転して帰ると酒気帯び運転になってしまいます。
また、前投薬のジフェンヒドラミンとの併用で中枢神経抑制作用(眠気、集中力や判断力の低下)が出やすくなっています。
同じタキサン系薬剤のドセタキセル(タキソール)にもアルコールが含まれますが、パクリタキセルより少ない量となっており、ヒマシ油は使用されていません。