薬剤師いんふぉ

薬剤師の学習記録です

メソトレキセート(メトトレキサート:MTX)とロイコボリン救援療法

メソトレキセート(メトトレキサート:MTX)は葉酸拮抗薬であり、がん治療に使用されている薬剤です。

 

葉酸に似た構造をしており、葉酸と同じように代謝を受けることで、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)を阻害することでDNA合成を抑制し抗腫瘍効果を発揮します。

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メソトレキセート(メトトレキサート)は葉酸の働きを阻害し、DNA合成に必要な材料を不足させてがん細胞の増殖を抑制します。

 

ですが、正常細胞も葉酸の働きを必要としており、メソトレキセート(メトトレキサート)の作用が強くあらわれると副作用が生じてしまいます。

 

 

メソトレキセート(メトトレキサート)の副作用を軽減する目的で使用されるのがロイコボリン(ホリナート)です。

 

ロイコボリン(ホリナート)は活性型葉酸(テトラヒドロ葉酸:THFの誘導体)です。

 

 

メソトレキセートはジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)を阻害して、ジヒドロ葉酸(DHF)からテトラヒドロ葉酸(THF)が作られるのを抑制し、THFを不足させます。

 

THFの誘導体であるロイコボリンを投与することで、THFが補充され副作用が軽減されます。

 

 

メトトレキサートの副作用軽減のためロイコボリンが必要な場合、「メトトレキサート・ロイコボリン救援療法」を行います。

 

メソトレキセート通常療法ではロイコボリンの救援療法は必要ありませんが、1回の投与量が100mg/㎡を超える場合はロイコボリンも副作用予防のため投与されます。

(メトトレキサート通常療法でもメトトレキサートによるものと思われる副作用が発現した場合はロイコボリンが使用されますし、腎機能障害がある場合は併用が考慮されます。)

 

 

メトトレキサート・ロイコボリン救援療法を行う際、尿が酸性側に傾くと、メトトレキサートの結晶が尿細管に沈着してしまうおそれがあります。

 

尿のpH7.0以上を維持するために炭酸水素ナトリウムで尿のアルカリ化を行い、尿量を維持するため十分な水分の補給を行いメトトレキサートの尿への排泄を促します。

(通常、尿のpHはやや酸性側に傾いています。)

 

利尿剤は尿を酸性化させるおそれがある、フロセミド、エタクリン酸、チアジド系利尿剤のような薬剤は避け、尿をアルカリ化させる作用をもつダイアモックス(アセタゾラミド)を使用します。

 

 

 

 

 

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