パージェタ(一般名:ペルツズマブ)は抗HER2抗体薬であり、HER2過剰発現が確認された乳癌に使用されます。
規格
パージェタ点滴静注420mg/14mL
適応症
HER2陽性の乳癌
用法用量
トラスツズマブと他の抗悪性腫瘍薬との併用において、
1日1回 初回840mg、2回目以降420mgを60分かけ3週間間隔で点滴静注
術前・術後薬物療法の場合、投与は12ヶ月まで
初回投与の忍容性が良好なら、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる
調製時の注意点
パージェタ(一般名:ペルツズマブ)の調製では生理食塩水以外は使用できません。
他剤と混注することもできません。
バイアルから14mlを抜き取り、生理食塩水250mlに加え、点滴静注します。
作用機序
抗HER2抗体薬であるパージェタ(一般名:ペルツズマブ)は、細胞膜表面にあるHER2のドメインⅡに結合します。
HER2が二量体を形成するのに関与しているドメインⅡにパージェタが結合することで、二量体形成が阻害され、HER2のシグナル伝達が抑制され、細胞増殖が抑えられます。
乳がんや胃がんであっても、HER2が多く発現していなければ、抗HER2抗体薬を使用しても効果が低くなってしまいます。
HER2タンパクの量を調べる検査を行い、HER2タンパクの量を確認してから抗HER2抗体薬を使用するかどうかを決めます。
副作用
パージェタ(一般名:ペルツズマブ)で比較的多くみられる副作用です。
・下痢
腸の粘膜が障害を受けて、下痢を起こすことがあります。
水分を多めに摂取するようにして、脱水症状を起こさないように注意が必要です。
・発疹
手足などに発疹があらわれる場合があります。
ステロイド等で治療を行います。
・脱毛
細胞分裂が盛んな毛髪をつくる細胞が障害され、脱毛が起こる場合があります。
投与開始後2~3週間後くらいに起こりやすいですが、治療が終了して3~6ヶ月後にはまた髪が生えてきます。
・好中球減少
好中球が減少すると、感染症にかかりやすくなります。
大きく減少した場合は、G-CFS製剤を使用する場合があります。
・悪心
投与開始直後から24時間以内に起こるインフュージョンリアクションによるものや、24時間から1週間ほどの間に起こるもの、また治療を思い出すことで起こる精神的なものがあります。
あらかじめ予防薬を使用する場合があります。
・末梢神経障害
手足のしびれや痛み、感覚が鈍くなるなどの症状があらわれる場合があります。
投与回数が増えるほど、生じやすくなります。
・倦怠感
疲れやすい、体が重いなどの倦怠感を感じる場合があります。
疲れを感じたときは無理をせず、こまめに休憩するようにします。
重篤な副作用
・心障害
HER2はがん細胞だけでなく心筋細胞にも存在しています。
そのため、パージェタを投与すると、心筋細胞も影響を受けることで心不全が生じる場合があります。
・インフュージョンリアクション
インフュージョンリアクション(Infusion reaction)は、分子標的薬投与時24時間以内にみられる過敏症反応です。
初回投与時に起こらなくても、2回目以降の投与時に起こることもあります。
・間質性肺疾患
咳き込みや息切れ、発熱など間質性肺疾患が疑われる初期症状があらわれた場合は、すぐに申し出るよう指導します。
パージェタ(一般名:ペルツズマブ)は抗HER2療法で、ハーセプチン(一般名:トラスツズマブ)と併用される場合があります。