PATROL試験は3種のストロングスタチンの有効性を直接比較した試験で2010年に報告されました。
スタチン系薬剤は全部で6種類ありますが、LDLコレステロールの低下率が高いアトルバスタチン(リピトール)、ピタバスタチン(リバロ)、ロスバスタチン(クレストール)の3種類をストロングスタチンといいます。
それ以外のスタチンはスタンダードスタチンと呼ばれ、プラバスタチン(メバロチン)、シンバスタチン(リポバス)、フルバスタチン(ローコール)の3種があります。
スタンダードスタチンはLDLコレステロールの低下率が約20%であるのに対し、ストロングスタチンではLDLコレステロールを約40%低下させると言われています。
PATROL試験はストロングスタチンの有効性・安全性の直接比較をするために、国内の高LDLコレステロール血症の患者を対象に実施された比較試験です。
試験ではアトルバスタチン(リピトール)10mg、ピタバスタチン(リバロ)2mg、ロスバスタチン(クレストール)2.5mgをそれぞれ1日1回投与を16週間継続して比較をしました。
その結果、3群間でLDLコレステロール低下率や副作用発現率について、優位な差は見られませんでした。
このことから
アトルバスタチン(リピトール)10mg
=ピタバスタチン(リバロ)2mg
=ロスバスタチン(クレストール)2.5mg
であることが解りました。
アトルバスタチン(リピトール)は1日最大40mgまで(4倍)
ピタバスタチン(リバロ)は1日最大4mgまで(2倍)
ロスバスタチンは(クレストール)1日最大20mgまで(8倍)
使用ができ、ロスバスタチンが8倍までと一番増量できる幅が大きいです。
3群間で有意差がみられた項目もあります。
以前に述べました、スタチンによるHbA1C上昇作用です。
アトルバスタチンとロスバスタチンではHbA1cの有意な上昇がみられましたが、ピタバスタチンではみられませんでした。
一方、アトルバスタチンとロスバスタチンでは尿酸値を有意に低下させ、さらにロスバスタチンではHDLコレステロールの上昇も認められました。
PATROL試験の結果、このように3種のストロングスタチンにおいて有効性、安全性に差は無いことが証明され、副次的な作用で差が認められ薬剤選択で考慮する判断材料の1つとなっています。
まとめ
・アトルバスタチン(リピトール)10mg
=ピタバスタチン(リバロ)2mg
=ロスバスタチン(クレストール)2.5mg
・3種のストロングスタチンにおいて、有効性、安全性に差は無い
・ピタバスタチンではHbA1cの有意な上昇がみられなかった
・アトルバスタチンとロスバスタチンは尿酸値を有意に低下させた