薬剤師情報局

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SERMの作用機序

SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーターSelective Estrogen Receptor Modulaterは、骨粗鬆症治療薬の一種です。

 

SERMはサームと読みます。

ビスホスホネート系製剤や活性型ビタミンD3製剤などのように、骨粗鬆症の治療薬として使用されています。

 

今回はSERMの作用機序について見ていきます。

 

SEAMは骨のエストロゲン受容体に対する強い親和性があります。

アゴニストとして骨のエストロゲン受容体に作用し、破骨細胞による骨吸収を抑制して骨量の増加や骨折防止効果をもたらします。

 

エストロゲンの代わりに、SERMがエストロゲン受容体にアゴニストとして作用することで、エストロゲン様の骨吸収抑制作用を示します。

 

エストロゲンは女性ホルモンの一種であり、閉経後の女性はエストロゲンの量が低下してしまうため、骨密度が低下してしまうことが多いです。

 

このためエストロゲンを補うことでも、骨量の増加が見込めますが、エストロゲン受容体は骨だけでなく、乳腺や子宮にも存在します。

 

エストロゲンは乳腺や子宮の成長を促す作用を持っていますが、補充されたエストロゲンが過剰に乳腺や子宮のエストロゲン受容体に作用すると、乳がんや子宮体がんのリスクが上昇してしまいます。

 

SERMは名前の通り選択的に骨のエストロゲン受容体にアゴニストとして作用します。

 

そのため、エストロゲン製剤とは異なり、乳がんや子宮体がんの発症リスクを上げるおそれがありません。

 

さらに、SERMは乳腺や子宮のエストロゲン受容体にはアンタゴニストとして作用をするので、乳がんや子宮体がんの発症を抑制する効果が期待できます。

 

アゴニストやアンタゴニストという言葉が出てきました。

アゴニスト(作動薬、刺激薬)は受容体に結合して、生体反応を引き起こすものです。

アンタゴニスト(拮抗薬、遮断薬)は受容体に結合して、生体反応を減弱、または阻害するものです。

 

SERMの適応は

閉経後骨粗鬆症となっています。

 

重大な副作用に静脈血栓塞栓症があり、注意が必要です。

 

血栓ができることで血管が詰まってしまいます。

初期症状は、下肢のしびれや痛み、むくみ、突然の呼吸困難、息切れ、胸痛、急性視力障害といったものがあります。

 

血液の流れが悪くなると血栓が生じやすくなってしまうため、飛行機や自動車に長時間乗る場合は水分を多く摂り、できるだけ体を、特に足をこまめに動かすように指導します。

 

また、手術などにより長期不動状態となる3日前には服用を中止し、完全に歩行ができるようになるまでは服用を再開しないようにします。

 

SERMにはバゼドキシフェン(ビビアント)とラロキシフェン(エビスタ)の2種類があり、その違いについてはこちらでまとめています。

 

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  まとめ

・SEAMは骨のエストロゲン受容体にアゴニストとして作用し、破骨細胞による骨吸収を抑制して骨量の増加や骨折防止効果をもたらす

・SERMは選択的に骨のエストロゲン受容体に作用するため、エストロゲン製剤と異なり、乳がんや子宮体がんの発症リスクを上げるおそれがない

静脈血栓塞栓症の発現に注意が必要

 

 

 

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