経口血糖降下薬の一種であるSU薬(スルホニル尿素薬)は、インスリン分泌を促し血糖値を下げるお薬です。
SU薬にはグリメピリド(アマリール)、グリクラジド(グリミクロン)、グリベンクラミド(オイグルコン/ダオニール)などがあります。
作用機序をもう少し詳しくみると、
SU薬が膵β細胞のSU受容体に結合
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ATP感受性Kチャネルを閉鎖
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細胞膜の脱分極
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電位依存性Caチャネルが開く
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Caイオンが細胞内に流入
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インスリンの分泌
上記のような機序でSU薬は膵臓のβ細胞からインスリン分泌を促進させます。
インスリンの増加により血糖降下作用を示しますが、副作用の体重増加に注意が必要な薬剤です。
インスリンの作用が増強されることにより、脂肪細胞への糖の取り込みが促進され、過食や運動不足の状態では脂肪細胞の肥大化が生じて、体重が増加してしまいます。
血糖値を下げようとインスリンが糖を脂肪細胞へ送ることで、このような体重増加が生じてしまいます。
肥大した脂肪細胞はアディポネクチンの産生を低下させ、インスリン抵抗性を上げてしまい悪循環へとつながってしまいます。
インスリンは骨格筋や肝臓にも作用して、骨格筋での糖の取り込み、肝臓での糖放出の抑制をしますが、インスリンの感受性は脂肪細胞の方が高く、脂肪細胞にとってはインスリン過剰の状態となり肥大化を起こしてしまいます。
また血糖の降下による空腹感から、間食をしてしまい体重が増加してしまうケースもあります。
インスリン療法もSU薬と同じ理由で体重増加を引き起こしてしまうことがあります。
また、以前に述べたチアゾリジン薬の副作用にも体重増加がありました。
チアゾリジン薬の場合は脂肪細胞の肥大化だけでなく、ナトリウム貯留による浮腫からも体重増加をきたしてしまうことがあります。
体重増加を起こしやすいのはSU薬、インスリン製剤、チアゾリジン薬です。
エネルギー過剰状態から脂肪細胞の肥大化が生じてしまうので、薬物療法中も食事療法・運動療法を続ける必要があることを指導しなくてはいけません。
SU剤の長期服用により起こる二次無効についてはこちらです。
各SU薬の比較や特徴についてはこちらです。
まとめ
・SU剤は膵β細胞からのインスリン分泌を促す
・ 脂肪細胞への糖の取り込みが促進され、過食や運動不足の状態では脂肪細胞の肥大化が生じて、体重が増加してしまう
・インスリンの感受性は骨格筋や肝臓よりも脂肪細胞の方が高く、脂肪細胞にとってはインスリン過剰の状態となり肥大化を起こしてしまう