統合失調症は10歳代後半~30歳代前半に発症する頻度の高い精神疾患です。
幻覚・妄想や思考障害、意欲低下や無関心、感情鈍麻、引きこもり、認知機能障害などの症状を呈します。
一生のうちで発症する率は約1%で、男女比は1:1とされていますが男性の方が重症化しやすいことが指摘されているようです。
統合失調症は素因(遺伝やストレスへの抵抗力)にストレスが加わり発症すると言われています。
ドパミンやその受容体の異常が病因として考えられています。
ですがドパミンだけ説明できない部分もあり、ドパミン以外にセロトニンなども関与しているのではないかと言われています。
脳内のドパミン経路(ドパミンを神経伝達物質とする経路)のうち、中脳辺縁系と中脳皮質系において異常が生じていると考えられています。
中脳辺縁系でドパミンが過剰に放出されていると、幻覚や妄想などの陽性症状が引き起こされてしまいます。
また中脳皮質系でドパミン機能が低下すると意欲減退や感情鈍麻などの陰性症状、遂行機能障害などの認知機能障害が現れてしまいます。
このように統合失調症では、中脳辺縁系ではドパミン機能の亢進が、中脳皮質系ではドパミン機能の低下が生じてしまうと考えられています。
陽性症状、陰性症状という言葉が出てきましたが、それについて見ていきます。
陽性症状は本来なら無いはずのものが存在する症状です。
妄想や幻覚、興奮、自我障害、思考の異常や奇異な行動といった症状です。
急性期によくみられる症状であり、派手なものが多いのが特徴です。
陰性症状は本来なら有るはずのものが欠如している症状です。
感情鈍麻(喜怒哀楽が失われる)、思考内容の貧困化、自発性の低下、自閉など正常な精神機能が低下してしまっています。
慢性期によくみられる症状です。
このように統合失調症には陽性症状と陰性症状があり、生じている症状で選択する薬剤も変わってきます。
それにつきましては、こちらでまとめています。
まとめ
・中脳辺縁系でドパミンが過剰に放出されていると、陽性症状が引き起こされてしまう
・陽性症状は本来なら無いはずのものが存在する症状である
・陽性症状では、妄想や幻覚、興奮、自我障害、思考の異常や奇異な行動といった症状がみられる
・中脳皮質系でドパミン機能が低下する、陰性症状が生じてしまう
・陰性症状は本来なら有るはずのものが欠如している症状である
・陰性症状では、感情鈍麻(喜怒哀楽が失われる)、思考内容の貧困化、自発性の低下、自閉など正常な精神機能が低下してしまう