アダパレン(ディフェリンゲル)は尋常性ざ瘡(ニキビ)の治療薬です。
ニキビを専門的な言い方をすると尋常性ざ瘡という言い方になります。
ニキビは皮脂の過剰分泌や角化細胞の増殖による毛穴のつまり、ニキビ菌(アクネ菌)やブドウ球菌の増殖が原因で生じます。
アダパレンは角化細胞の分化を抑えて、毛穴のつまりを取り除きます。
これにより新しいニキビができるのを防ぐとともに、炎症を起こしたニキビを減少させます。
作用機序をもう少し見ていきます。
アダパレンは表皮のレチノイン酸受容体(RARγ)に親和性を持ちます。
アダパレンがレチノイン酸受容体(RARγ)に作用すると、トランスグルタミナーゼの発現が抑制されます。
トランスグルタミナーゼは顆粒細胞から角質細胞への分化を促進しています。
アダパレンがトランスグルタミナーゼの発現を抑制することで、角質が薄くなり毛穴のつまりが改善されます。
次にディフェリンゲルの使い方です。
用法は
・1日1回、洗顔後、患部に適量を塗布する
・就寝前に使用すること
とあります。
紫外線をできるだけ避けるため就寝前に使用します。
まず洗顔料を手に取り、よく泡立ててから優しく洗います。
洗顔料はしっかりと洗い落とし、柔らかいタオルでこすらずに水分を拭き取ります。
ディフェリンゲルをニキビとその周囲に塗布します。
アダパレンの作用により、角質が薄くなり毛穴のつまりを取り除くことができますが、その際に正常な皮膚の角質も薄くなってしまいます。
これにより肌の乾燥、赤み、痒み、皮膚剥奪、ピリピリする刺激感、不快感が生じてしまいます。
使用を開始して2週間以内にこれらの症状が生じやすいですが、通常は軽度で一時的なものであり次第に治まります。
このような場合には保湿剤を使用し、乾燥を防ぐことで症状が和らぎます。
ヘパリン類似物質などの保湿剤が一緒に使用されることが多いです。
保湿剤を使用する場合は、ディフェリンゲルを不必要な場所に塗り広げてしまうのを防ぐため、洗顔後にまず保湿剤を全体に塗布し、ディフェリンゲルをニキビとその周囲に必要な場所にだけ塗布するようにします。
抗生剤が併用薬として処方されていた場合は、ディフェリンゲルを使用した後、その上に重ねるようにします。
また、日中は日光に当たらないように防止や日傘を使用するようにします。
紫外線により皮膚の刺激感が生じることがあり、それを防ぐためです。
このようにアダパレン(ディフェリンゲル)は抗菌薬とは異なる機序のニキビ治療薬です。
注意点や使用方法が特徴的ですので、しっかりと把握をしておきましょう。
まとめ
・紫外線をできるだけ避けるため就寝前に使用する
・洗顔後、ディフェリンゲルをニキビとその周囲に塗布する
・2週間以内に肌の乾燥、赤み、痒み、皮膚剥奪、ピリピリする刺激感、不快感などの症状が生じやすいが、通常は軽度で一時的なものであり次第に治まる
・保湿剤を使用し、乾燥を防ぐことで副作用を和らげることができる
・保湿剤と併用する場合は、先に保湿剤を全体に塗布してからディフェリンゲルを使用する
・使用中はできるだけ日光に当たるのを避けるようにする