レボドパ製剤は脳内で代謝されドパミンとなり、不足しているドパミンを補う代表的なパーキンソン病治療薬です。
減少したドパミンを補うので、理にかなった治療薬ですが長期投与によりwearing off減少やon-off減少などの問題が生じてしまうことがありました。
長期投与によりレボドパ製剤の効果が減弱してきた際に用いられることがある投与方法について述べたいと思います。
服用は原則、食後です。
レボドパ製剤の代表的な副作用に悪心・嘔吐、食欲不振等の消化器症状があります。
(これらは飲み始めに生じることが多いですが、継続しているうちに軽快することが多いです。)
食後に服用することで、吸収される速度が早くなりすぎないようにし、消化器症状が生じるのを抑えることができます。
ですが、レボドパ製剤の効果が減弱してきた時に、レボドパの吸収を上げるために食前に服用する場合があります。
レボドパは小腸上部から吸収されますが、食前に服用することで食べ物よりも先に薬が胃を通過するようになり、吸収が早まります。
また胃液pHが低い程(酸性な程)レボドパの吸収率が上がることも解っており、胃液pHが低い状態の空腹時投与はその点でも吸収に有利に働きます。
そのため、胃液pHを下げる酸性度のある飲料(レモン水など)で服用することもあります。
反対に胃液のpHを上げる、PPIやH2受容体拮抗薬、牛乳などと一緒に服用すると吸収が低下してしまうおそれがあります。
その他に消化管運動を亢進して、小腸まで薬をスムーズに送り吸収を上げるために、ドンペリドン(ナウゼリン)やモサプリド(ガスモチン)が使用されることもあります。
これらの薬剤はレボドパ製剤による消化器症状の軽減も期待できます。
このように、食前服用はレボドパの吸収を上げることが分かりましたが、食後服用に比べて血中濃度の増加が急になりますので副作用の発現には注意が必要です。
また症状の急速な改善がみられても、その効果は持続しにくいものであると言われています。
レボドパ製剤を服用しても効果が得られない no-on現象や、効果の発現までに時間がかかってしまう delayed on現象の際に、空腹時投与をすることがあります。
まとめ
・ レボドパ製剤の効果が減弱してきた時に、レボドパの吸収を上げるために食前に服用する場合がある
・胃液pHが低い程(酸性な程)レボドパの吸収率が上がる
・食後服用に比べて血中濃度の増加が急になりますので副作用の発現には注意が必要