薬剤師情報局

薬剤師の学習記録です

ジクアス点眼液の作用機序

ジクアス点眼液(成分名:ジクアホソルナトリウム)はドライアイ治療点眼薬です。

 

 

ドライアイ治療点眼にはヒアレイン点眼液(成分名:ヒアルロン酸ナトリウム)やムコスタ点眼液(成分名:レバミピド)もありますが、ジクアス点眼液はどのような機序でドライアイを改善してくれるのでしょうか。

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ドライアイとは

ドライアイは涙の量や質の異常により眼を保護する能力が低下してしまいます。

涙による角膜を保護する力が低下すると角膜上皮障害が生じて、眼がゴロゴロする、眼を開けているのがつらくなる、かすみ眼等の症状が生じてきます。

 

これらはドライアイの代表的な症状ですね。

 

 

 

 

ムチンとは

ムチンは糖とタンパク質が結合した多糖類の一種で、粘液性の物質です。

 

動物の上皮性細胞、粘膜、唾液線などから分泌される粘液には、ムチンが含まれています。

 

 

口腔、消化管や目の表面は粘液に覆われているので、ムチンに覆われているとも言えます。

 

ムチンは高い保水力を持っています。

目において、ムチンの分泌量が増えることで、目の表面の保水性が高まりドライアイが改善されます。

 

 

 

 

作用機序

ジクアス点眼が結膜上皮及び結膜杯細胞膜上P2Y2受容体に作用すると、細胞内のカルシウム濃度が上昇して、水分とムチンの分泌が促進されます。

 

 

角膜上皮においても、角膜上皮のP2Y2受容体に作用することで、膜型ムチンの発現・産生を促進します。

 

 

ムチンには膜型ムチンと分泌型ムチンがあります。

 

膜型ムチンは涙の主成分である水分を角膜に均等に定着させる役割を果たしています。

角膜は、水をはじく性質があるのですが、角膜上皮にムチン層を形成して角膜と水分がなじみやすくしてくれています。

これが膜型ムチンの主な役割です。

 

また、分泌型ムチンは涙液の中に分布していますが、涙が目の表面に均一に分布するのを補助していて、涙の安定性に重要な役割を果たしています。

 

 

このように、ムチンは涙が目の表面に留まるのに重要な物質です。

 

 

ジクアス点眼液は、水分の分泌を促すことで涙の「量」と、ムチンの分泌を促すことで涙の「質」を改善してくれる点眼薬です。

 

涙の量と質を改善してドライアイを改善します。

 

ムチンの分泌を促す作用があるため、ヒアレイン点眼液よりも効果が高いと言われています。

 

 

 

ジクアスの適応は

「ドライアイ」のみです。

 

用法は

「通常、1回1滴、1日6回点眼」です。

 

 

防腐剤の塩化ベンザルコニウムは含まれていないため、ソフトコンタクトレンズに対する記載もなく、装着したままの点眼が可能です。

 

副作用のうち刺激感が6.7%と高めになっています。

 

 

 

 

 

 

  まとめ

・ジクアス点眼液は水分とムチンの分泌を促す

・涙の量だけで無く、質も改善するドライアイ治療点眼薬である

・ソフトコンタクトレンズを装着したままの点眼が可能である