レボチロキシン(チラーヂン)は甲状腺ホルモン製剤であり、甲状腺機能低下症などに使用されています。
甲状腺ホルモンを補ってくれるお薬ですが、レボチロキシンをコーヒーで服用すると、水で服用した時と比べて吸収が低下し、効果が減弱したと報告されています。
以下、製薬メーカーに確認した内容です。
報告があったケースではコーヒーでレボチロキシンを服用するようになってから、TSHが上昇(甲状腺ホルモン値が低下するとTSH値は上昇します)してしまいました。
そこで、レボチロキシンを水で服用し、その30分後にコーヒーを飲むようにしたところ、TSH値は低下したそうです。
他の事例でも、コーヒーでレボチロキシンを服用するようになってから、TSH値が上昇してしまいましたが、水で服用して時間をあけてからコーヒーを飲むようにしたらTSH値は減少しました。
健常人を対象としてレボチロキシンとコーヒーの影響を調べたところ、レボチロキシンを水で服用した時と比較して、エスプレッソで服用するとレボチロキシンの吸収は低下して、最大血中濃度(Cmax)や時間-濃度曲線下面積(AUC)が低下することが解りました。
また、水でレボチロキシンを服用してから1時間後にエスプレッソを飲んだ場合は、レボチロキシンの吸収に影響が無いことも解りました。
コーヒーのどの成分なのか不明ですが、消化管内でレボチロキシンと結合して吸収が阻害されたと考えられています。
これらのことから、レボチロキシンは原則、水や白湯で服用するようにして、コーヒーはそれから30分~1時間後に飲むようにしてもらえば影響は少なくなりそうですね。
指示通りレボチロキシンを服用しているのに、検査値が良くならないといった方がいればコーヒー摂取の有無について聞いてみても良いかもしれませんね。
添付文書では、レボチロキシンと結合し吸収を抑制してしまうと考えられている薬剤として、鉄、アルミニウム、カルシウム含有製剤などが併用注意薬として記載されていますので、そちらにも注意が必要です。
これらの薬剤とは投与間隔をできるだけあけるようにしましょう。
コレスチラミン(クエストラン)
コレスチミド(コレバイン)
鉄剤
アルミニウム含有製剤
炭酸カルシウム(カルタン)
炭酸ランタン(ホスレノール)
セベラマー塩酸塩(レナジェル)
ポリスチレンスルホン酸カルシウム(アーガメイト/カリメート)
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(ケイキサレート)
チラーヂンと反対の作用を持つメルカゾールの併用についてはこちらです。
まとめ
・レボチロキシンをコーヒーで服用すると吸収が低下してしまう可能性がある
・レボチロキシンは原則水や白湯で服用するようにする
・服用後、1時間ほど経過してからのコーヒーの摂取は影響が少ないと思われる