メトホルミン(メトグルコ)はビグアナイド系経口血糖降下薬(BG薬)です。
古くから2型糖尿病に使用されており、経済性にも優れており欧米では第一選択薬として用いられています。
今回は現在も糖尿病治療薬として処方頻度の多いメトホルミンの作用機序やメリットについて見ていきましょう。
メトホルミンは以下の3つの作用により血糖降下作用を示す薬剤です。
・肝臓からの糖新生の抑制
・筋肉など末梢での糖利用の促進
・腸管からの糖吸収の抑制
メトホルミンはAMPキナーゼという酵素を活性化します。
これにより、肝臓での糖新生が抑制されます。
糖新生とは乳酸やアミノ酸(アラニン)などから、糖(グルコース)を生み出すことを言います。
さらに肝臓での脂肪酸合成を抑制して、肝脂肪の量が低下することで、肝臓のインスリン抵抗性を改善する作用もあります。
脂肪肝の改善は、肝臓のインスリン抵抗性の改善につながります。
骨格筋においては、AMPキナーゼが活性化することで、骨格筋での糖取り込みが促進され、骨格筋のインスリン抵抗性を改善します。
GLUT4という糖輸送担体が糖を細胞内へ取り込む作業をしているのですが、AMPキナーゼがこの運び屋を細胞表面へ移動させることで、糖の取り込みが促進されます。
また、脂肪細胞での糖取り込み促進作用も確認されています。
脂肪組織では糖(グルコース)を取り込み、中性脂肪(TG)を合成することで血中のグルコース濃度(血糖値)を下げています。
このように骨格筋や脂肪組織での糖取り込みを促進してインスリン抵抗性を改善しています。
3つ目の作用ですが、腸管では糖の吸収を抑制する作用が認められています。
糖の吸収を減らし、血糖値が上昇しないようにします。
主たる作用は、肝臓での糖新生を抑制することによる血糖降下作用です。
糖新生が抑制されることで、糖が作られなくなり、糖の放出量が減り血糖値が低下します。
そして骨格筋や脂肪組織での糖取り込み促進と、脂肪肝の改善によるインスリン抵抗性改善作用があり、その他にも腸管での糖吸収抑制作用もあります。
このように、メトホルミンはインスリン分泌に関与せずに、血糖降下作用を示しインスリン抵抗性を改善する働きがあります。
インスリンの分泌を増やさないため、膵臓の負担は少なく、体重増加も起こしにくい薬剤です。
単剤では低血糖を起こしにくい薬剤ですが、重大な副作用に乳酸アシドーシスがあります。
まとめ
メトホルミンは以下の3つの作用により血糖降下作用を示す
・ 肝臓からの糖新生の抑制
・筋肉など末梢での糖利用の促進
・腸管からの糖吸収の抑制