バゼドキシフェン(ビビアント)とラロキシフェン(エビスタ)の違い
バゼドキシフェン(ビビアント)とラロキシフェン(エビスタ)はどちらもSERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター:Selective Estrogen Receptor Modulator)です。
SERMの作用機序については以前にこちらでまとめました。
SERMには上記の2種類がありますが、この2剤の違いについて触れたいと思います。
発売はラロキシフェン(エビスタ)が2004年、バゼドキシフェン(ビビアント)が2010年とバゼドキシフェンの方が新しい薬剤になります。
ラロキシフェンの方はジェネリックも発売されています。
適応はどちらも「閉経後骨粗鬆症」です。
用法も一緒で、どちらも1日1回服用する薬剤です。
「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」で、骨粗鬆症治療薬の有効性がそれぞれ評価されているのですが、
SERMを見てみると
骨密度 椎体骨折 非椎体骨折 大腿骨近位部骨折
ラロキシフェン A A B C
バゼドキシフェン A A B C
骨密度評価 A:上昇効果あり B:上昇すると報告あり C:上昇するとの報告なし
骨折評価 A:抑制する B:抑制すると報告あり C:抑制するとの報告なし
このようになっており、ガイドライン上の評価は同じです。
海外ではバゼドキシフェンとラロキシフェンを直接比較した大規模な試験が行われています。
海外第Ⅲ相臨床試験(301-WW試験)は閉経後骨粗鬆症患者を対象に、骨折抑制効果をバゼドキシフェンとラロキシフェンで直接比較した試験です。
この試験で、バゼドキシフェンとラロキシフェンはプラセボ群に比べて新規椎体骨折の発生率を有意に低下させたことが確認されました。
さらに高リスク群の患者において、非椎体骨折の発生率をバゼドキシフェンがプラセボ群に比べて50%、ラロキシフェンと比べて44%それぞれ有意に低下させたことも確認されています。
この結果から、骨折リスクの高い方でバゼドキシフェンはラロキシフェンよりも椎骨(背骨)以外の骨折予防効果が高いと言われています。