薬剤師いんふぉ

薬剤師の学習記録です

α1遮断薬の違い 2

前回の記事でα1受容体遮断薬は第一世代、第二世代に分けられ、α1受容体にはα1A、α1B、α1D3種類のサブタイプがあることを述べました。

 

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では、今回はα1受容体のサブタイプについて、さらに見ていきましょう。

 

α1Bは主に血管平滑筋に存在しており、血圧のコントロールに影響し、排尿機能への影響は少ないと考えられています。

 

前立腺尿道、膀胱平滑筋などには、α1A、α1Dが多く存在しており、これらが排尿機能に関与しています。

 

α1A、α1Dが尿道抵抗を増大させているのですね。

 

前立腺ではα1Aがα1Dよりも多く存在していると言われています。

ですが、個人差もありα1Dの方が多く存在している方もいます。

一般的にα1A受容体選択性の高い薬剤は排出症状の改善にやや優れていると考えられています。

 

膀胱にはα1Dが多く存在しており、夜間頻尿や尿意切迫感などの蓄尿症状に関与していると言われています。

そのため、α1D受容体選択性の高い薬剤は蓄尿症状の改善にやや優れていると考えられています。

 

これらの点から、前立腺肥大症による排尿障害には、α1A、α1Dへ選択的に作用する第二世代α1受容体遮断薬が選択されています。

 

第二世代α1受容体遮断薬には

シロドシン(ユリーフ

フリバス(ナフトピジル)

タムスロシン(ハルナール)

の3種類がありました。

 

それぞれの特徴を見ていきましょう。

 

 シロドシン(ユリーフ

α1A>>α1D  α1Aに対する選択性がα1Dよりも大きく高いです。

1日2回

射精障害の副作用あり(17.2%)

 

 ナフトピジル(フリバス

α1D>α1A  α1Dに対する選択性がα1Aよりも高いです。

1日1回

 

 タムスロシン(ハルナール)

α1A>α1D  α1Aに対する選択性がα1Dよりも高いです。

1日1回

 

ナフトピジルはα1Dに対する選択性が高いことから、頻尿などの蓄尿症状の改善にも効果が期待できます。

 

α1A選択性の高い薬剤で改善がみられなかった方にα1D選択性があるナフトピジルやタムスロシンを使用すると、改善がみられる場合があります。

 

また、精嚢にもα1A受容体は存在しており、α1A受容体が遮断されると射精障害が生じてしまうことがあります。

α1A受容体遮断作用の高いシロドシンでは、射精障害の副作用発現頻度が17.2%と高くなっています。

 

α1B受容体には作用しにくく、血圧の低下を起こしにくい第二世代α1受容体遮断薬ですが、血圧とは関係なく立ちくらみやめまい等の症状が生じることがあります。

中枢のα1受容体遮断作用によるものと考えられており注意が必要です。

 

タムスロシンの服用方法の注意点についてはこちらです。 

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  まとめ

前立腺ではα1Aがα1Dよりも多く存在していると言われており、一般的にα1A受容体選択性の高い薬剤は排出症状の改善にやや優れていると考えられている

・膀胱にはα1Dが多く存在しており、、α1D受容体選択性の高い薬剤は蓄尿症状の改善にやや優れていると考えられている

・精嚢にもα1A受容体は存在しており、α1A受容体が遮断されると射精障害が生じてしまうことがある

・α1B受容体に作用しにくい第二世代α1受容体遮断薬ででも、血圧とは関係なく立ちくらみやめまい等の症状が生じることがある。

 

 

 

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