ニューキノロン系薬は細菌のDNA・RNA合成を阻害することで抗菌作用を発揮します。
核酸合成阻害薬に分類されます。
ニューキノロン系抗菌薬は、幅広い種類の菌に対して有効であり、広域スペクトル抗菌薬と呼ばれています。
他の種類の抗菌剤に比べて、バイオアベイラビリティが高く、抗菌スペクトルが広いため、注射剤からの切り替えや原因菌が不明の初期治療など幅広く使用されています。
使い勝手がとても良く、様々な場面で使用されています。
ですが、使用頻度が多いということは濫用につながるおそれもあり、耐性菌の出現にも注意をしなくてはいけません。
レスピラトリーキノロンはニューキノロン系薬のうち、呼吸器感染症の主要起炎菌である肺炎球菌に対して抗菌活性が強化されたキノロンです。
さらに非定型病原体も広くカバーし、薬剤の肺組織への移行が高いといった特徴も持ちます。
日本呼吸器学会が述べるレスピラトリーキノロンの特徴では
・ペニシリン耐性株、マクロライド耐性株を含む肺炎球菌に強い抗菌活性を示す
・非定型病原体を含め、広く呼吸器病原菌をカバーする
・肺炎に対し高い臨床的有用性が確認されている
・β-ラクタム系やマクロライド系薬と比較して、同等以上の呼吸器感染菌をカバーし、転機にも優れている
といった点を挙げています。
市中肺炎で一番頻度の高い原因菌は肺炎球菌ですが、マイコプラズマやクラミジア、レジオネラなどが原因菌の非定型肺炎の場合もあります。
レスピラトリーキノロンはこれら市中肺炎の原因菌の大部分をカバーしていますが、耐性菌の出現を防ぐため、使用は最低限とし、本当に必要な状況で使用するべき薬剤です。
肺炎球菌など細菌性肺炎に対してはペニシリン系抗生剤、非定型肺炎に対してはマクロライド系抗生剤を使用するなどして、レスピラトリーキノロンを本当に必要で無い場合は使用を控えるようにしましょう。
こうすることで医療資源の枯渇を防ぐことができます。
以下が具体的なレスピラトリーキノロンです
・レボフロキサシン(クラビット)
・トスフロキサシン(オゼックス)
・モキシフロキサシン(アベロックス)
・ガレノキサシン(ジェニナック)
・シタフロキサシン(グレースビット)
まとめ
・レスピラトリーキノロンはニューキノロン系薬のうち、肺炎球菌に対する有効性が高く、非定型肺炎の原因菌も広くカバーする、薬剤の肺組織への移行性が高いキノロン
・使い勝手の良い薬剤だが、耐性菌の出現を防ぐため使用は本当に必要な場合だけにする