クレンブテロール(スピロペント)はβ2刺激作用を持つ薬剤であり、そのβ2刺激作用により気管支を拡張します。
気道閉塞性障害(気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫、急性気管支炎)により気道が狭くなり息苦しくなった状態に使用することで、気道を広げで呼吸を楽にしてくれます。
β2刺激薬は気管支拡張作用から、喘息などの呼吸器疾患に使用されますが、クレンブテロールは腹圧性尿失禁にも使用される薬剤です。
腹圧性尿失禁とは咳やくしゃみ、重い荷物を持ち上げたりして、お腹に力が入った時に尿が漏れてしまう失禁のことです。
尿道括約筋を含む、骨盤底筋群が緩んでしまうことで、腹圧が加わった際に尿が漏れてしまうと考えられています。
この骨盤底筋群の緩みが腹圧性尿失禁の原因です。
加齢や出産、閉経に伴う女性ホルモンの低下が骨盤底筋群の緩みにつながると言われています。
β2受容体は膀胱や外尿道括約筋にも存在しています。
クレンブテロールが作用すると、膀胱では膀胱平滑筋を弛緩させ膀胱の内圧を低下させます。
そして外尿道括約筋においては収縮を増強させる働きが認められています。
膀胱の平滑筋は弛緩させる一方で、尿道括約筋は収縮させる働きがあるのですね。
これらの作用により、蓄尿機能を高めて、腹圧性尿失禁を改善してくれます。
用法についても見てみましょう。
気道閉塞性障害に使用する場合は
成人に対して、1回20μgを1日2回朝及び就寝前に投与
頓服で使用する場合は1回20μgで使用
腹圧性尿失禁に使用する場合は
成人に対して、1回20μgを1日2回朝及び夕に投与
適宜増減できるが、60μg/日を上限とする
となっています。
ちなみにクレンブテロールは気管支喘息・COPD治療薬において、LABA(long-acting β-agonists:長時間作用性β2刺激薬)に分類されます。