抗RANKL抗体製剤にはデノスマブ(商品名:プラリア)があり、骨粗鬆症の治療薬として使用されています。
注射薬であり、使用は半年に1回、皮下注で済む製剤となっています。
高い骨折予防効果が認められている薬剤です。
骨は吸収と形成が繰り返し行われ、常に新しいものに作り直されています(リモデリング)。
骨吸収では、破骨細胞という細胞が古くなった骨を感知し、新しい物をつくるために骨を分解します。
続いて起こる骨形成では、骨芽細胞という細胞が、骨吸収が起こった部位で新しい骨をつくります。
この骨吸収と骨形成を繰り返す流れにより、骨は組織の更新を行い強度を保つことができています。
骨粗鬆症は、骨吸収と骨形成のバランスが崩れ、骨吸収の方が高くなることで生じます。
骨が作られる量よりも骨が削られる量が増えてしまい骨密度が低下するからですね。
加齢や生活習慣、女性の場合は閉経、薬剤による影響などが原因としてあげられます。
骨粗鬆症を治療(骨折を予防)する薬剤は
・骨吸収抑制:ビスホスホネート製剤、抗RANKL抗体、エストロゲン製剤、SERM、カルシトニン製剤
・骨代謝調整薬:ビタミンD製剤、カルシウム製剤、ビタミンK2製剤
に大きく分類されます。
抗RANKL抗体は骨吸収抑制することで骨粗鬆症を治療します。
骨吸収を抑制するということは破骨細胞の働きを抑えるということですが、抗RANKL抗体薬のデノスマブはどのように破骨細胞の働きを抑えるのでしょうか。
破骨細胞は単球・マクロファージ系の細胞が分化した細胞です。
マクロファージは抗原を貪食しますが、破骨細胞は骨を融解する能力を持っています。
破骨細胞へと分化していく過程で、前駆細胞にRANKLが結合することで破骨細胞への分化が促進されます。
RANKL(recepter activator of nuclear factor-κB ligand):破骨細胞分化因子
またRANKLは成熟した破骨細胞にも作用し、機能や生存を亢進させます。
デノスマブはこのRANKLに結合し、破骨前駆細胞にRANKLが結合できないようにして、破骨細胞の生成を抑えます。
破骨細胞が生成されなくなるので、骨が溶かされなくなり骨吸収が抑えられます。
このようにデノスマブはRANKLに結合することで、破骨細胞を生まれないようにすることで骨粗鬆症を治療する薬剤になります。