プロスタンディン軟膏（アルプロスタジル）の作用機序
プロスタンディン軟膏（一般名：アルプロスタジルアルファデクス）は褥瘡、皮膚潰瘍治療剤になります。
適応症は
褥瘡、皮膚潰瘍（熱傷潰瘍、糖尿病性潰瘍、下腿潰瘍、術後潰瘍）
となっています。
褥瘡の治療は瘡の状態により異なります。
急性期 → 炎症期 → 増殖期 → 成熟期 → 治癒
の順に快方へ向かい、プロスタンディン軟膏はこのうちの「増殖期・成熟期」に使用するのが望ましい薬剤となっています。
プロスタンディン軟膏は「皮膚血流増加作用」「血管新生促進作用」「表皮形成促進作用」の効果があります。
こうした効果により、皮膚の再生が早くなり、傷の治りが良くなります。
「増殖期・成熟期」では肉芽形成作用のあるものが使用され、他に使用が推奨される他の薬剤では
・フィブラストスプレー（成分名：トラフェルミン）
・オルセノン軟膏（成分名：トレチノイントコフェリル）
・アクトシン軟膏（成分名：ブクラデシンナトリウム）
があります。
プロスタンディン軟膏は褥瘡部分の血流を良くして、肉芽形成や皮膚形成を促進します。
有効成分のアルプロスタジルアルファデクスは他にも注射剤として使用されており、血管拡張作用から慢性動脈閉塞症などに使われています。
アルプロスタジルアルファデクスはプロスタグランジンＥ1（ＰＧＥ1）製剤です。
ＰＧＥ1は血管平滑筋や血小板のプロスタサイクリン受容体（ＩＰ受容体）に作用し、血管拡張作用（血管平滑筋弛緩）や血小板凝集抑制作用を示します。
ＰＧＥ1製剤がＩＰ受容体に作用することで、アデニル酸シクラーゼが活性化し細胞内のｃＡＭＰ濃度が上昇し血管平滑筋の弛緩や血小板の凝集抑制が生じます。
塗り薬においてもアルプロスタジルアルファデクスは局所の血流を改善し、肉芽形成や表皮形成を促進します。
薬効を裏付ける試験成績として
・皮膚血流増加作用
・血管新生促進作用
・肉芽組織形成促進作用
・表皮形成促進作用
・創傷治癒促進作用
などが動物実験等で報告されています。
このようにプロスタンディン軟膏を使用することで
・局所血流改善
・肉芽形成促進
・表皮形成促進
・創傷治癒促進
の効果が得られます。
「増殖期・成熟期」に使用することで、
肉芽が赤みを帯びてくる→肉芽が盛り上がる→表皮形成
といった流れで褥瘡を治癒へと導きます。
