ランタスXR注ソロスター(成分名:インスリングラルギン)は持効型溶解インスリンアナログ製剤になります。
「ソロスター」はインスリンのプレフィルド製剤(既に薬液が充填されている使い捨てタイプのインスリン製剤)のうち、製薬会社サノフィが作成したデバイスです。
「XR」は持続的な溶解を意味する、extended release のXRと取ったものです。
ランタス注ソロスターとランタスXR注ソロスターの有効成分はどちらも同じで、インスリングラルギンになります。
インスリングラルギンは持効型インスリン製剤であり、基礎インスリンの補充に使用されます。
ランタスXR注はランタス注と同成分ですが、濃度がランタス注の3倍になっています。
ランタスXR注:300単位/ml
ランタス注 :100単位/ml
ランタスXR注は濃度が高くなるため、注射する量が少なくて済むようになります。
皮下に投与されたインスリンはpHの影響で沈殿物を生成します。
この沈殿物が徐々に溶けて血液中へと移行して、インスリンとしての効果を発揮します。
ランタスXR注では注射量が少なく、皮下注射でできる沈殿物も小さい物になり、表面積も小さくなるため溶解速度が低下して、インスリンの吸収はゆっくり穏やかになものになります。
インスリンの吸収が穏やかになるため、ランタス注よりも安定した持続的な効果が得られ、1日1回の投与で24時間安定した血糖降下作用を発揮します。
明らかな血糖降下のピークもなく、ランタス注よりも低血糖を起こしにくいとされています。
ランタスXR注とランタス注の操作で異なる点もあり注意が必要です。
ランタス注の空打ちは2単位ですが、ランタスXR注の空打ちは3単位になります。
2単位ではランタス注XRの場合、針先まで十分に薬液が充填されず血糖降下作用に影響を及ぼすのを防ぐためです。
ランタスXR注の方が濃度が濃く、同じ2単位での空打ちだと液量(ml)が少なくなってしまうため、3単位の空打ちにしてランタス注よりも液量を増やして空打ちを行います。
またインスリン注射時の保持時間は
ランタス注 :10秒
ランタスXR注 :5秒
となっています。
インスリン製剤毎に注入時の保持時間に違いがあるのは、デバイスのゴムピストンの硬さの違いにより薬液の排出時間に差が生じるためと言われています。
使用中の保管期限にも違いがあり
ランタス注 :4週間
ランタスXR注 :6週間
と違いがあります。
ランタス注からランタスXR注への切り替えについては、「同単位を目安として
投与を開始する」と記載されており、通常は同じ単位で切り替えるようにします。