フィブラート系薬剤の作用機序
フィブラート系薬剤は脂質異常症の治療で使用される薬剤です。
脂質異常症は血液中の脂質が基準値を超えている病態のことを言います。
診断基準は以下のようになります。
空腹時採血で以下のいずれかの場合
・高LDLコレステロール血症 LDLコレステロール:140mg/dL以上
・低HDLコレステロール血症 HDLコレステロール:40mg/dL未満
・高グリセライド(中性脂肪)血症 中性脂肪(トリグリセライド:TG) 150mg/dL以上
脂質異常症の状態が続くと、血液中に余分な脂質が多くなり、血管壁へ付着し動脈硬化が起こりやすくなります。
動脈硬化が進行するとやがて心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしてしまうおそれがあります。
フィブラート系薬剤はトリグリセライド(中性脂肪)を低下させる代表的な薬剤です。
またHDLコレステロールを増加させる効果もあります。
作用機序
フィブラート系薬剤は核内受容体であるPPARαに結合し活性化させます。
PPARα(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α: peroxisome proliferator-activated receptor α)は肝臓や脂肪組織などで発現しており、脂質代謝に関与しています。
PPARαが活性化させることで、
①肝臓での中性脂肪(TG:トリグリセライド)の産生が抑制されます。
中性脂肪は肝臓でアセチルCoAから合成されます。
アセチルCoAから中性脂肪の合成にはアセチルCoAカルボキシラーゼという酵素が必要ですが、パルモディアはアセチルCoAカルボキシラーゼを阻害して、アセチルCoAから中性脂肪の合成を阻害します。
また、
②LPL(リポ蛋白リパーゼ)が活性化され、中性脂肪(TG)の分解が促進されます。
筋肉や脂肪組織で作られ、血中や脂肪細胞に存在しています。
簡単に言うと、フィブラート系薬剤は
中性脂肪を燃焼しやすい状態に分解してエネルギー利用するのを助けたり、
肝臓で新しい中性脂肪が作られないようにして中性脂肪を減らしています。
このような機序でフィブラート系薬剤はトリグリセライド(中性脂肪)の合成を抑制、分解を促進することで、中性脂肪を減少させます。
フィブラート系薬剤
・ベザトール(一般名:ベザフィブラート)
・リピディル/トライコア(一般名:フェノフィブラート)
・パルモディア(一般名:ペマフィブラート)