緑内障の治療で使用される点眼薬は数多くあり、炭酸脱水酵素阻害薬はそのうちの一つです。
毛様体筋で産生された房水と呼ばれる液が、角膜と水晶体の間を循環しています。
この房水が血液の代わりに眼の組織に栄養を運んだり、眼圧の調整をしたりしています。
房水の排出がうまく行われずに、房水が溜まってしまうと眼圧が上昇してしまいます。
眼圧の高い状態が続くと、視神経が障害されてしまう可能性が高くなり、緑内障になるおそれがあります。
緑内障治療点眼薬には以下のように様々な種類があります。
・プロスタグランジン関連薬
・EP2受容体作動薬
・β遮断薬
・炭酸脱水酵素阻害薬
・α2受容体刺激薬
・副交感神経刺激薬
・α1受容体遮断薬
・Rhoキナーゼ阻害薬
これらの治療薬は
・毛様体筋からの房水産生抑制
・主流出路からの房水排出促進
・副流出路からの房水排出促進
のいずれかの作用に分類されます。
房水の産生を低下させるか、房水を流出させるかに大きく分かれますね。
今回の炭酸脱水酵素阻害薬は、毛様体での房水産生を抑制することで眼圧を低下させます。
毛様体の筋肉が収縮することで、水晶体の厚さが変化しピントを合わせる働きをしてくれていますが、毛様体は房水の産生もしています。
炭酸脱水酵素阻害薬は毛様体上皮の炭酸脱水素を特異的に阻害することで、房水の産生を抑制し、眼内の房水を減らすことで眼圧を低下させます。
炭酸脱水酵素は眼を含め体の様々な組織に存在し、二酸化炭素の水和や炭酸の脱水に関与する酵素です。
下記のように、炭酸から水が産生されにくくすることで房水の産生を抑制しています。
CO2+H2O ⇔ H2CO3 ⇔ H++ H3O-
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阻害
炭酸脱水酵素阻害薬の内服薬を昔は使用していましたが、副作用が出ないように点眼薬用の薬剤が作られたことで安心して長期投与が可能になりました。
プロスタグランジン関連薬によるまぶたの黒ずみの様な副作用や、β受容体遮断薬の様な全身性の副作用はなく、比較的副作用の少ない薬剤です。
刺激感や眼のかすみ、結膜炎などが副作用として報告されています。
眼圧を下げる効果はプロスタグランジン関連薬やβ遮断薬よりも劣ると言われており、他の薬剤と併用で使用されることが多いです。
炭酸脱水酵素阻害薬には以下の種類があります。
・ドルゾラミド(トルソプト点眼液)
・ブリンゾラミド(エイゾプト点眼液)