薬剤師情報局

薬剤師の学習記録です

フルオロウラシル(5-FU)の作用機序

フルオロウラシル(5-FU)はフッ化ピリミジン系代謝拮抗薬です。

yakuzaishi-info.hateblo.jp

 

フルオロウラシルは内服薬も発売されていましたが、現在終了し注射薬のみになっています。(軟膏もあります)

 

 

作用機序

フルオロウラシルは、ピリミジン塩基であるウラシル(U)の5位の水素原子をフッ素に換えた構造をしています。

違いはそこだけですので、とてもよく似た構造ですね。

ウラシルはピリミジン合成経路で代謝を受けてdUMPとなり、チミジル酸合成酵素(TS)により最終的にdTMPとなってDNA合成材料として使用されます。

 

フルオロウラシルも構造が似ているのでピリミジン合成経路で代謝を受けてFdUMPとなります。

このFdUMPがチミジル酸合成酵素(TS)にdUMPの代わりに結合することで、dUMPが反応できずdTMPがつくられなくなるためDNA合成が阻害され、抗腫瘍効果を発揮します。

簡単にまとめるとフルオロウラシルが代謝を受けてFdUMPとなり、TSを阻害してdTMPが合成されなくなることで、DNA合成を抑制します。

 

また、FdUMPとなる前のFUDPがRNAに取り込まれることにより、RNAの機能障害が起こり蛋白合成が妨げられ、抗腫瘍効果を発揮します。

 

DNA合成障害の作用は、時間依存性の作用であり低濃度で長時間暴露する、持続点滴静注で得られます。

RNA機能障害の作用は、用量依存性の作用であり高濃度で暴露する、急速静注で得られます。

 

 

適応

・単独療法

   胃癌、肝癌、結腸・直腸癌、乳癌、膵癌、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌

・他の抗悪性腫瘍薬または放射線と併用療法

   食道癌、肺癌、頭頸部腫瘍

・他の抗悪性腫瘍薬との併用療法

   頭頸部癌

レボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法

   結腸・直腸癌、小腸癌、治癒切除不能な膵癌

 

 

代表的なレジメン

mFOLFOX6療法:切除不能進行・再発結腸・直腸がん

   レボホリナート+フルオロウラシル+オキサリプラチン

FOLFIRINOX療法:切除不能膵がん

  レボホリナート+フルオロウラシル+イリノテカン+オキサリプラチン

FOLFIRI療法:切除不能進行・再発結腸・直腸がん

  レボホリナート+フルオロウラシル+イリノテカン  

 

 

フルオロウラシルは単剤で使用することが少なく、異なる作用機序の抗悪性腫瘍薬と併用されることが多いです。

そのためフルオロウラシルの副作用だけでなく、併用される抗悪性腫瘍薬の副作用にも注意が必要です。

 

フルオロウラシルの効果を高めるレボホリナートが併用される場合があります。 

yakuzaishi-info.hateblo.jp

 

 

 

  まとめ

・フルオロウラシルはフッ化ピリミジン代謝拮抗薬である

代謝を受けてFdUMPとなり、TSを阻害してDNA合成を抑制する

・DNA合成障害は時間依存性、RNA機能障害は濃度依存性で効果が得られる

・単剤で使用されることは少なく、他の抗悪性腫瘍薬と併用して使用される

 

 

 

yakuzaishi-info.hateblo.jp