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ティーエスワン(S-1)の作用機序

ティーエスワン(S-1:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)はピリミジン代謝拮抗薬に分類される抗悪性腫瘍薬です。

 

 

 

適応症

胃癌、結腸・直腸癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、手術不能又は再発乳癌、膵癌、胆道癌

 

 

用法用量

初回投与量(1回量)を体表面積に合せて次の基準量とし、朝食後及び夕食後の1日2回、28日間連日経口投与し、その後14日間休薬する。

これを1クールとして投与を繰り返す。

 

なお、患者の状態により適宜増減する。

増減量の段階を40mg、50mg、60mg、75mg/回とする。

増量は本剤の投与によると判断される臨床検査値異常(血液検査、肝・腎機能検査)及び消化器症状が発現せず、安全性に問題がなく、増量できると判断される場合に初回基準量から一段階までとし、75mg/回を限度とする。

また、減量は通常、一段階ずつ行い、最低投与量は40mg/回とする。

 

体表面積  初回基準量(テガフール相当量) 
1.25m2未満  40mg/回 
1.25m2以上〜1.5m2未満  50mg/回 
1.5m2以上  60mg/回 

 

 

作用機序

ティーエスワン(S-1)には3種類の成分「テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム」が配合されています。

 

テガフール

テガフールはフルオロウラシル(5-FU)のプロドラッグであり、肝臓でCYP2A6により代謝されて徐々に5-FUへ変換されます。

 

5-FUは肝臓で分解を受けて抗腫瘍効果を失ってしまいますが、プロドラッグ化することにより、5-FUの効果が持続するようになります。

yakuzaishi-info.hateblo.jp

 

ギメラシル

ギメラシルはフルオロウラシル(5-FU)の分解酵素であるジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)を阻害します。

 

これにより、5-FUの効果が持続し、作用を強力にします。

 

また、DPDによる代謝物は神経毒性にも関与していると言われており、DPDを阻害するギメラシルは神経毒性の副作用を軽減する効果もあると考えられています。

 

 

オテラシルカリウム

オテラシルカリウムは腸管での5-FUの活性化を阻害します。

 

この働きにより、腸管で5-FUが作用しなくなり、消化管障害を抑制することができます。

 

5-FUの効果を高めながらも、消化管障害を軽減することを可能にしています。

 

 

ティーエスワンの注意点についてはこちらです。 

yakuzaishi-info.hateblo.jp

 

 

 

 

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