薬剤師いんふぉ

薬剤師の学習記録です

デュタステリド(アボルブ)の作用機序

デュタステリド(アボルブ)は前立腺肥大症治療薬であり、α還元酵素阻害薬に分類されます。

 

以前に前立腺肥大症治療薬のα1遮断薬についてはこちらで述べました。

 

 

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α1遮断薬は前立腺内の平滑筋を弛緩させることで、排尿困難を改善させるお薬でした。

 

デュタステリドは前立腺を小さくすることで排尿困難を改善します。

 

 

まず適応症は

前立腺肥大症

用法用量は

回0.5mgを1日1回経口投与」 

となっています。

 

では、作用機序について詳しくみていきましょう。

 

前立腺肥大にはDHT(ジヒドロテストステロン)が関与していると考えられています。

DHTはアンドロゲン(男性ホルモン)の一種であり高い活性をもちます。

 

精巣で産生されるアンドロゲンの一種であるTST(テストステロン)が、前立腺細胞内で5α還元酵素により、DHTに変換されます。

DHTはアンドロゲン受容体と結合することで、前立腺細胞を増殖させ、前立腺体積が増加してしまいます。

 

デュタステリドは5α還元酵素を阻害することで、TSTからDHTへと変換させるのを防ぎ前立腺の増殖を抑制し、前立腺体積を減少させます。

 

前立腺の成長や機能の維持にはアンドロゲンが必要であり、そのうちの強力なアンドロゲンであるDHTが減少するため前立腺が縮小します。

 

デュタステリド投与開始後2週間で、血中DHT濃度が85.7%減少したというデータがあります。

また、性機能に関連する血中TSTの濃度は減少が認められませんでした。

このように5α還元酵素を阻害するデュタステリドは、DHTだけを減少させます。

 

抗アンドロゲン薬であるクロルマジノン(プロスタール)は、精巣からのTST分泌の抑制、前立腺細胞へのTST取り込みの抑制、DHTのアンドロゲン受容体への結合阻害といった作用で前立腺へのアンドロゲンの作用を抑制していました。

DHTだけでなく、TSTも減少させてしまうため、性欲低下や勃起不全といった性機能への副作用が問題となっていました。

 

デュタステリドはこうした影響が少ない薬剤だと言われています。

 

α1遮断薬とは異なり、デュタステリドに即効性はありませんが前立腺を小さくする効果があります。

治療効果を評価するために、通常6ヶ月の服用が必要であるとされています。

早い段階で改善の実感があった場合でも、指示された期間服用を続けるように指導をしましょう。

 

デュタステリドによるPSA値への影響はこちらです。

 

服用の注意点についてはこちらです。

 

 

  まとめ

・デュタステリド(アボルブ)は5α還元酵素阻害薬である

・DHTが前立腺細胞を増殖させる

・デュタステリドはTSTからDHTへと変換する5α還元酵素を阻害する

・即効性はないが、前立腺を小さくする

・治療効果を評価するのに6ヶ月の服用が必要

 

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