リウマトレックス(メトトレキサート:MTX)は抗リウマチ薬です。
リウマチの他、乾癬の治療で使用されることもあります。
適応症
・関節リウマチ
・局所療法で効果不十分な尋常性乾癬
・関節症性乾癬
・膿疱性乾癬
・乾癬性紅皮症
・関節症状を伴う若年性特発性関節炎
ガイドラインでも推奨されており、リウマチ治療のアンカードラッグ(中心的薬剤)として使用されています。
リウマトレックスはジヒドロ葉酸還元酵素(ジヒドロ葉酸レダクターゼ:DHFR)を阻害することで、葉酸の合成を阻害して炎症細胞の増殖を抑制しています。
もう少し詳しくみていきましょう。
DNAの原料は葉酸です。
細胞増殖に必要な葉酸代謝を阻害することで、リンパ球(T細胞、B細胞)や滑膜細胞などの増殖を抑制します。
葉酸 → ジヒドロ葉酸(DHF) → テトラヒドロ葉酸(THF)→→ 核酸合成
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【リウマトレックスが阻害】
葉酸とメトトレキサートの構造はとても似ており、細胞内に入ったメトトレキサートを葉酸と間違えて代謝しようとしたジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)を阻害します。
このように、リウマトレックスがジヒドロ葉酸還元酵素を阻害することで、DNA合成に必要な葉酸の代謝が阻害されて、リンパ球や滑膜細胞などの細胞増殖が抑制されます。
さらに、リウマトレックスは細胞内のAICARトランスホルミラーゼを阻害します。
これにより、AICAR(アミノイミダゾールカルボキサマイドリボ核酸)が細胞内に蓄積されます。
AICARはAMPデアミナーゼやADPを阻害し、アデノシンの増加や細胞外へのアデノシンの遊離を促進します。
細胞外に出たアデノシンが好中球などのアデノシンA2A受容体に結合して、その機能や炎症性サイトカイン(TNF-α、IFN-γ、IL-12、IL-6)の産生を抑制することで抗炎症作用を発揮します。
リウマトレックスは
ジヒドロ葉酸還元酵素を阻害することで、リンパ球や滑膜細胞の増殖を抑制し、
AICARトランスホルミラーゼを阻害することで、好中球の遊走や炎症性サイトカインの産生を抑制しています。
このようにリウマトレックスは細胞増殖抑制作用と抗炎症作用をもつ薬剤です。
また、リウマトレックスは毎日服用せず、週に1~3回服用する薬剤です。
リウマトレックスと葉酸の併用についてはこちらです。