デュタステリド(アボルブ)は前立腺肥大症治療薬であり、5α還元酵素阻害薬に分類されます。
アボルブの作用機序についてはこちらです。
PSAについて
デュタステリドとPSAの関係を述べる前に、まずPSAについてです。
PSA(Prostate Specific Antigen:前立腺特異抗原)は、前立腺から分泌される物質で、精子の運動性を高める役割を果たしたりしています。
PSA検査は、前立腺癌の診断や治療経過観察に最も有効な検査と言われています。
PSAが高い
PSAは前立腺自体から分泌されていますので、前立腺疾患が無い方でも存在はしています。
ですが、前立腺に疾患(癌や炎症)があると、前立腺組織が壊れ血液中にPSAが放出され数値が高くなります。
基準値は0.0~4.0ng/mLとされていますが、年齢により基準値が変わります。(年齢が低い方が基準値も低いです)
PSAの数値が高いほど、前立腺癌である可能性も高くなってしまいますが、前立腺肥大症や前立腺炎でもPSAは高くなることがあります。
デュタステリドとPSAの関係
では、デュタステリドとPSAの関係についてです。
デュタステリドの作用機序は「5α還元酵素を阻害することで、TSTからDHTへと変換させるのを防ぎ、前立腺の増殖を抑制し、前立腺体積を減少させる」といったものでした。
デュタステリドがDHT(ジヒドロテストステロン)を減少させ、アンドロゲン受容体と結合するのを抑制します。
PSAの産生はアンドロゲン(男性ホルモン)による影響を受けており、デュタステリドによりその作用が減弱するため、PSAの産生も低下します。
ですが、デュタステリドによりPSAが下がっても、前立腺癌になりにくい、良くなっているわけではありません。
PSAの数値が下がってしまうので前立腺癌が発生していても、発見を見落としてしまう危険があります。
半年間の服用で、PSAは50%低下すると言われています。
デュタステリド服用中の注意点
患者さんにはPSA検査を受ける際は、デュタステリドを服用していることを医療機関にお伝えするよう指導します。
デュタステリドを服用している患者さんのPSA検査をする際は、測定したPSA値を2倍して基準値(通常4.0ng/mL未満)と比較します。
PSAの数値が基準値以下でも、デュタステリド服用中は前立腺癌の診断を除外しないように注意します。
その他の注意点についてはこちらです。
まとめ
・デュタステリド服用中はPSAの数値が低下する
・デュタステリド服用中はPSA値を2倍して基準値と比較をする