シクレスト(一般名:アセナピン)は、多元受容体作用抗神経薬(MARTA)に分類される統合失調症治療薬です。
適応症
用法用量
1回5mgを1日2回 舌下投与から開始
維持量:1回5mgを1日2回
最高用量:1回10mgを1日2回
作用機序
シクレスト(一般名:アセナピン)は第二世代(非定型)抗精神病薬の多元受容体作用抗精神病薬(MARTA:Multi-Acting Receptor Targeted Antipsychotics)に分類されます。
MARTAはセロトニン、ドパミンの他、アドレナリン、コリン(ムスカリン)、ヒスタミン受容体など多くの受容体に作用します。
ドパミンD2受容体遮断作用により抗精神病作用を発揮し、セロトニン5-HT2A受容体遮断作用により陰性症状にも効果が期待できます。
その他にも抗ヒスタミン作用(H1受容体拮抗作用)や抗アドレナリンα1作用による鎮静作用も得られます。
他のMARTAとの比較
シクレストは他のMARTAに比べてムスカリン受容体への親和性が低く、抗コリン作用による副作用(便秘や口渇)が少ないと言われています。
代謝への影響もありますが、ジプレキサ(一般名:オランザピン)、セロクエル(一般名:クエチアピン)とは異なり、糖尿病の方に対して禁忌となっていません。(慎重投与)
そして最大の特徴は舌下錠となっていることです。
舌下投与の理由
シクレストが舌下錠となっている理由ですが、シクレストを飲み込むと肝臓で初回通過効果を受けて分解されてしまいます。
そのため、舌下から吸収させて直接血流に乗せることで、肝臓を通過するより前に脳へ薬が先に届くようにします。
このようにシクレストは肝臓で代謝を受けないようにするために舌下錠となっています。
使用方法
・シートを剥がして薬を取り出します
シクレストはとても水に溶けやすいため、乾いた手で触るようにしてください。
・薬を舌の下に置きます
飲み込むと肝臓でほとんど分解されてしまいます。
割れていた場合も全量を舌の下に置くようにしてください。
・食べる、飲む、うがいは10分経ってからにしてください
お薬はすぐに溶けますが、しっかりと全量を吸収させるため、飲食や歯磨きをするのは10分後からにしてください。
他の薬がある場合は、先に薬を飲んでから最後にシクレストを使用するようにしましょう。
これらの点に注意することで、シクレストの効果がしっかりと発揮されます。
シクレストによる口の痺れについてはこちらです。