経口血糖降下薬の一種であるSU薬(スルホニル尿素薬)は、インスリン分泌を促し血糖値を下げるお薬です。
SU薬の作用機序は以下のようになります。
SU薬が膵β細胞のSU受容体に結合
↓
ATP感受性Kチャネルを閉鎖
↓
細胞膜の脱分極
↓
電位依存性Caチャネルが開く
↓
Caイオンが細胞内に流入
↓
インスリンの分泌
SU薬はインスリン分泌を促進させるので血糖降下作用は強く、低血糖には注意が必要です。
膵臓のインスリン分泌機能が残っているほど、血糖降下作用が得られます。
その他のSU剤全体の特徴としては、
効果時間が長めであり、長時間にわたって膵臓からのインスリン分泌を促すので空腹時の血糖値もよく下げる効果があります。
また、インスリン分泌を促すので、
膵 β 細胞が疲弊することによる「二次無効」や、「体重増加」が問題となる場合があります。
SU薬は第一世代~第三世代に分類されます。
第一世代
・デアメリンS(一般名:グリクロピラミド)
・ジメリン(一般名:アセトヘキサミド)
・アベノマイド(一般名:クロルプロパミド)
歴史は古く1950~1960年代に第一世代のSU薬は誕生しました。
第二世代よりも血糖降下作用は弱めであり、新しい薬剤が登場してから現在ではほとんど使用されていません。
第二世代
・グリミクロン(一般名:グリクラジド)
1970年代以降に登場した第二世代は、第一世代よりも血糖降下作用が強いです。
オイグルコン/ダオニール(一般名:グリベンクラミド)はSU薬全体でもインスリン分泌作用が高く、血糖降下作用が高いですが、低血糖も起こしやすい薬剤です。
グリミクロン(一般名:グリクラジド)は血糖降下作用の他に、血小板粘着能・凝集能改善作用、抗血栓作用、抗酸化作用が報告されており、糖尿病性網膜症の進展抑制効果が認められています。
第三世代
・アマリール(グリメピリド)
2000年に登場した一番新しい薬剤です。
インスリン分泌促進作用は、グリベンクラミドに劣りますが、同等の血糖降下作用があります。
アマリールには膵外作用(膵臓でのインスリン分泌促進以外の作用)があるためです。
肝臓や筋肉、脂肪組織でのインスリン感受性を高めることで、インスリンの働きが良くなり血糖値が改善します。(インスリン抵抗性の改善)
インスリン分泌作用が穏やかでありながら、インスリン抵抗性改善作用により血糖降下作用を発揮するアマリールは低血糖や二次無効を起こしにくい薬剤と考えられています。