メトグルコ(メトホルミン)はビグアナイド系経口血糖降下薬です。
メトグルコ(メトホルミン)とヨード造影剤は併用注意の組み合わせとなっています。
ヨード造影剤とは
造影剤はCTやMRIなどの画像診断の際に、より分かりやすくするために使用する薬剤です。
造影剤を使用することで、画像にコントラスト(白黒の差)が付いたりして血管や臓器、疾患の部分が分かりやすくなります。
体に与える影響、副作用が少ない物質が造影剤に選ばれています。
ヨード造影剤はヨウ素(I)を構造中に含んでおり、CT検査などX線を使用する検査で使用されます。
メトホルミンとヨード造影剤
メトホルミンとヨード造影剤は併用注意の組み合わせです。
その理由は、併用により乳酸アシドーシスを起こすことがあるからです。
乳酸アシドーシスは血液中の乳酸が異常に増加し、血液が酸性化(アシドーシス)してしまう疾患です。
乳酸アシドーシスが起こりやすくなる理由
メトホルミンとヨード造影剤の併用で乳酸アシドーシスが起こりやすくなるのは、ヨード造影剤により一過性の腎機能低下が生じてしまうことが原因と言われています。
メトホルミンは腎排泄型の薬剤です。
腎機能が低下すると、メトホルミンの排泄が低下してしまいます。
メトホルミンは肝臓で乳酸などから糖新生を抑制することで血糖降下作用を示します。
メトホルミンによる乳酸アシドーシスは、乳酸からの糖新生が抑制されることで、乳酸が貯留傾向になり、血液中の尿酸値が上昇してしまうことにより乳酸アシドーシスが生じてしまいます。
ヨード造影剤により腎機能が低下してしまうことで、メトホルミンの作用が強く生じてしまうことが原因と考えられています。
メトホルミンの休薬期間
メトホルミンの添付文書には、
検査前にはメトホルミンの服用を一時的に中止する。(緊急時を除く)
ヨード造影剤投与後48時間はメトホルミンの投与を再開しないこと。
と記載されています。
検査前については、ヨード造影剤の投与何時間前に休止しなくてはならないという具体的な目安はないようです。
日本医学放射線学会では
eGFRが60ml/min/1.73㎡以上であればメトホルミンの投与継続が可能、
eGFRが30~60ml/min/1.73㎡未満の場合はヨード造影剤投与の前後48時間はメトホルミンの投与を中止。
(eGFRが30未満:腎機能障害患者へのメトホルミン投与は禁忌である)
としています。
医療機関によっては、検査当日から48時間後までを休薬期間としたり、腎機能に関わらず投与前後48時間を休薬期間とするところもあるようです。
その病院のガイドラインに従って休薬ができているかどうかのチェックが必要です。