カルシウム受容体作動薬は副甲状腺のカルシウム受容体に作用し、副甲状腺ホルモン(PTH:パラトルモン)の分泌を抑制する薬剤です。
副甲状腺ホルモン(PTH)は血液中のカルシウムやリンの濃度を調節しています。
骨を溶かして血液中のカルシウムを増やそうとするので、過剰に分泌された状態が続くと、高カルシウム血症や骨折の危険があります。
ビタミンD3製剤、高リン血症治療薬、そしてこのカルシウム受容体作動薬を併用することで、血清カルシウム、リン、PTHをコントロールすることができます。
経口のカルシウム受容体作動薬には
・シナカルセト(レグパラ)
・エボカルセト(オルケディア)
があります。
副作用
エボカルセト(オルケディア)はシナカルセト(レグパラ)の問題点を改良したお薬になります。
障害(悪心、嘔吐、腹部不快感、食欲減退等)が多いことが問題でした。
オルケディアでは消化器への副作用発現率がレグパラに比べて有意に低くなっています。
バイオアベイラビリティが高まり低用量化できたことにより、消化管に存在しているカルシウム受容体への影響が減ったためではないかと考えられています。
相互作用
レグパラはCYP3A4で代謝されるため、CYP3A4阻害薬と併用すると血中濃度が上昇するおそれがあります。
また、CYP2D6への阻害作用もあり、CYP2D6で代謝される薬剤の血中濃度を上げる可能性があります。
オルケディアはタウリン抱合、グリシン抱合により代謝され、CYPが関与していないためCYPに関係する相互作用がありません。
そのため、オルケディアの方が相互作用の少ない薬剤となっています。
効果
オルケディアの方が副作用や相互作用の薬剤が少ないですが、効果に関してオルケディアレグパラに対して同程度(非劣勢)と言われています。
カルシウム受容体作動薬にはエテルカルセチド(パーサビブ)もありますが、これは透析時に透析ルートへ投与する薬剤です。
このようにオルケディアはレグパラよりも消化器系の副作用や相互作用が少なく、効果は同等な薬剤であると言われています。