タダラフィル(ザルティア)は前立腺肥大症に伴う排尿障害治療薬です。
作用機序についてはこちらです。
今回は作用機序のところで述べられなかった、タダラフィルの注意点についてです。
硝酸薬の注意点でも述べたのですが、タダラフィルは硝酸薬又はNO(一酸化窒素)供与剤と併用禁忌となっています。
タダラフィルはホスホジエステラーゼ5(PDE5)という酵素を阻害し、cGMPを増やすことで平滑筋を弛緩させることで尿道抵抗を改善し、血流を増加させる薬剤でした。
cGMPはNO(一酸化窒素)によって産生されます。
そのため、硝酸薬やNO供与剤と、cGMPを分解するPDE5を阻害するタダラフィルと併用することで血管平滑筋弛緩による降圧作用が過度に生じるおそれがあるため併用禁忌となっています。
硝酸剤及びNO供与剤には
・ニトログリセリン(ニトロペン、ミオコール、ミリステープ、ニトロダームTTS等)
・亜硝酸アミル
・硝酸イソソルビド(ニトロール、フランドル)
・一硝酸イソソルビド(アイトロール)
・ニコランジル(シグマート)
等があります。
また、肺高血圧症治療薬であるリオシグアト(アデムパス)もcGMPの産生を促すため併用禁忌の薬剤となっています。
タダラフィルは腎機能障害がある患者に投与すると血中濃度が上昇する可能性がある薬剤です。
通常用法は5mgを1日1回ですが、
中等度の腎機能障害(Ccr:31~50)では2.5mg 1日1回からの開始を考慮します。
重度の腎機能障害がある患者には禁忌となっています。
また、重度の肝障害がある患者にも禁忌の薬剤です。
適応が異なりますが、レビトラ、アドシルカもザルティアと同じタダラフィル製剤です。
これらの薬剤も同じように硝酸薬やNO供与剤との併用は禁忌となっています。