前回、硝酸薬の作用機序についてまとめました。
今回は硝酸薬の副作用や注意点についてまとめたいと思います。
剤型や即効性・持続性ものなど違いはあるのですが、硝酸薬には主に
・ニトログリセリン(ニトロペン舌下錠、ニトロダームTTS、ミオコールスプレー)
・硝酸イソソルビド(フランドル、ニトロール)
・一硝酸イソソルビド(アイトロール)
があります。
作用機序で述べたように、硝酸薬には血管拡張作用があります。
血管拡張作用により、頭痛や顔面紅潮といった症状が副作用のうち生じやすいです。
これらの症状は服用開始時に生じやすく、一過性のものであり次第に軽快する場合もあり、鎮痛薬を投与したりするケースもありますが、症状によって減量や中止の検討も必要になります。
これらの副作用により、注意力や集中力が低下するおそれもあり、自動車運転等は行わないようにとの記載もされています。
また血管拡張作用により、血圧が低下する場合もあります。
血圧低下による、めまいや動機、頻脈、にも注意が必要です。
高齢の方の場合は特に起立性低血圧によるふらつきには注意しなくてはいけません。
閉塞隅角緑内障の方には、眼圧を上昇させるおそれがあり投与禁忌となっています。
硝酸薬により脈絡膜血管が拡張し、散瞳による一過性の眼圧上昇が生じるおそれがあると考えられています。
ホスホジエステラーゼ5(PDE5阻害薬)を服用中の方も禁忌となっています。
cGMPをホスホジエステラーゼが分解するのですが、PDE5阻害薬を服用しているとcGMPが分解されにくくなり増加します。
硝酸薬はグアニル酸シクラーゼを活性化してcGMPを増やす薬剤でした。
この2剤を併用するとcGMPが過量となり、過度の降圧が生じて危険なため併用禁忌となっています。
また、グアニル酸シクラーゼ刺激作用をもつ薬剤も、cGMPを増やしすぎてしまうおそれがあるため併用禁忌となっています。
PDE5阻害薬
・バルデナフィル(レビトラ)
グアニル酸シクラーゼ刺激薬
・リオシグアト(アデムパス)
最後に、硝酸薬は連用により耐性が出現し、効果が減弱してしまう場合があります。
漫然とした長期間の使用には注意が必要です。
ですが硝酸薬の耐性が生じてしまった場合でも、8~12時間硝酸薬との接触を中止する休薬時間を設けることで、硝酸薬の効果が復活すると言われています。
まとめ
・血管拡張作用により、頭痛や顔面紅潮が生じやすい
・血圧低下による、めまい、動機、頻脈に注意する
・閉塞隅角緑内障の方、PDE5阻害薬服用中の方は投与禁忌
・長期使用により耐性が生じることがあ