シグマート(ニコランジル)は狭心症治療で使用されるお薬です。
狭心症の治療薬には硝酸薬があり、そちらについてもまとめています。
ニコランジルは狭心症の治療薬として、硝酸薬と同じように扱われることが多いですが、硝酸薬とは異なる作用機序ももっており、硝酸薬とは違う分類になっているお薬です。
作用機序についてですが、
まずニコランジルは硝酸薬と同じようにNO(一酸化窒素)を遊離します。
これによりグアニル酸シクラーゼが活性化し、cGMPが増え血管が拡張します。
主に静脈を拡張させ、それにより前負荷が軽減します。
また、冠血管を拡張させる作用もあります。
ここまでは硝酸薬と同じですね。
そしてニコランジルはもう一つ、K+(カリウム)チャネル開口作用をもっています。
K+チャネルが開くことで、血管平滑筋の細胞内から細胞外へK+が出ていきます。
これによりCa2+(カルシウム)チャネルが閉じられて、Ca2+が細胞内へ入ることができず血管の収縮を抑えることができます。
この作用は主に冠動脈で得られます。
ニコランジルはこれらの2つの作用で血管を拡張させるお薬です。
その他にも、虚血時の心筋細胞内のミトコンドリアにある、ATP感受性K+チャネルを開口させ、心筋保護作用が得られるとも言われています。
主な副作用は硝酸薬と同じく血管拡張による頭痛やほてりです。
頭痛については継続していると改善していくことも多いです。
血圧低下によるめまいも報告されていますが、ニコランジルは硝酸薬と比較して血圧低下や反射性頻脈が生じにくいと言われています。
併用禁忌役も硝酸薬と同じで
PDE5阻害薬
・バルデナフィル(レビトラ)
グアニル酸シクラーゼ刺激薬
・リオシグアト(アデムパス)
これらの併用するとcGMPを過度に増やすおそれがある薬剤が併用禁忌薬となっています。
硝酸薬は閉塞隅角緑内障の方には禁忌となっていましたが、ニコランジルでは緑内障の方は慎重投与となっています。
また硝酸薬は長期使用により耐性が生じてしまうことが問題でしたが、ニコランジルは硝酸薬のような耐性が生じにくい薬剤であると言われています。
まとめ
・ニコランジルにはNOによる血管拡張作用と、K+チャネル開口作用による血管拡張作用の両作用がある
・硝酸薬のような長期使用による耐性が生じにくい